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シリア政府は本当に化学兵器を使ったのか

ニューズウィーク日本版 / 2013年9月5日 13時52分

 一方、正しい調査で致死的な化学物質の使用が証明されても、誰がその攻撃を行ったのか判明しそうにない。アサド政権が反体制派を虐殺するのに使ったのか、もしくは反体制派が欧米の軍事介入を促すために自作自演したのか。その問いにも、簡単には答えが出ない。

 誰が化学兵器を使っているかについては、国連内でも意見が割れている。今年5月、シリア問題に関する国連調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は、「化学兵器のサリンガスを使っているのは反体制派だ」と指摘して、反体制派を支援するアメリカなどから批判された。

 オバマ米大統領は昨年8月、化学兵器の使用は軍事介入も考慮される「レッドライン(越えてはならない一線)」だと発言。一方のシリア政府も、反体制派による化学兵器の使用は彼らにとっての「レッドライン」だと言う。政府と反体制派のどちらが今回の攻撃を行ったのだとしても、シリア情勢がさらなる泥沼にはまることは間違いない。

[2013.9. 3号掲載]
山田敏弘(本誌記者)


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