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原発の汚染水は「完全にブロック」できるのか - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2013年9月10日 22時11分

「国が責任をもつ」と首相が世界に向かって宣言したのだから、事故の処理体制も見直し、国が全責任をもつスキームに変更すべきだ。特に汚染水については、巨額の経費をかけても構内に封じ込めることはできず、その維持にも大きなコストがかかる。いま出ている程度の濃度であれば、健康に影響はない。汚染水を「完全にブロック」することは不可能であり、望ましくもないのだ。

 かつて公害問題が騒がれたときも、福島の汚染水よりはるかに有害な水銀、砒素、六価クロムなどの重金属も「ゼロにする」という方針はとられなかった。なるべく濾過して濃度を下げることは当然だが、ゼロにできない微量の汚染物質は、人体に影響のない濃度に薄めて排出することが汚水処理の基本である。

 この観点から考えると、陸海に巨大な遮蔽壁を築いて汚染水を構内に閉じ込める福島の対策には疑問がある。汚染水の貯蔵タンクは今でも900本あるが、これが何千本、何万本と増えたとき、地震があったら大災害になるおそれもある。普通の汚水と同じく環境基準を定め、薄めて海に流す方針に転換すべきだ。こうした基準の設定も含めて、国が責任をもって対応する必要がある。

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