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円安になっても日本の貿易赤字は増え続ける - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2013年9月17日 20時49分

 内閣府の調査では、日本企業の海外生産比率は現在の17.7%から5年後には21.3%になると予測している。海外投資比率も、2年前の15.9%から今年は21.5%になる見通しだ。こうした調査はすべて大幅な円安になった後に行なわれたもので、企業が一時的な為替レートの変動より日本の競争条件の劣化を重視していることを示している。

 日本経済の本質的な問題は「デフレ」でも「円高」でもない。日本企業、特に製造業が世界市場で新興国に負け続けていることなのだ。これに対応するため、グローバル企業は国内に投資せず、海外生産を増やしている。それが国内投資が増えず、ゼロ金利になる原因だ。それを改善しないで、日銀がいくらお金を配っても経済は回復しない。

 このままでは、あと3年ぐらいで経常収支も赤字になるだろう。そうすれば巨額の政府債務を支える国内貯蓄も減り、財政破綻の危機が迫ってくる。安倍政権がやるべきなのは無意味な量的緩和ではなく、主要国で最高の法人税率を下げ、雇用規制を緩和し、TPP(環太平洋経済連携協定)によって新興国との連携を強化するなど、日本企業の国際競争力を高める本当の「第三の矢」である。

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