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安倍首相の「ウーマノミクス」が本物かどうかの試金石 - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2013年10月1日 13時25分

 しかも日本の税制では、年収103万円以下だと「被扶養者」として所得税が課税されず、夫の給与から配偶者控除が受けられる。さらに年収130万円以下だと社会保険料を納めなくても年金受給資格が得られる。つまり日本の税・社会保険は妻が103万円以上働いたら損する制度になっているのだ。

 これはキャシー松井氏のように(たぶん)年収2000万円を超えるスーパーキャリアウーマンにとっては問題ではないだろうが、日本の非正社員の平均年収は168万円である。がんばって働いて税金や社会保険料を取られるより、100万円以下のパートで夫にぶら下がったほうが得なのだ。

 この制度については、民主党政権でも「女性の社会進出を阻害する」として廃止が検討されたが、結局うやむやになった。特に年金保険料を納めないで受給資格をもつ女性がその既得権を失う影響が大きいため、今さら変えられないのだ。安倍首相が本気で女性の活用を実現するつもりなら、この税制と年金制度を変えてほしい。それが彼の「ウーマノミクス」が本物か、単なるリップサービスかの試金石である。

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