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1年後の北京。人気は和食にラーメン、そして「半沢直樹」 - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2013年10月3日 8時12分

 先月、2020年の東京オリンピック開催が決まった時も、微博やツイッターの上ではあっけらかーんと、「東京、やったねー!」「おめでとう!」の声が飛び交った。取ってつけたように2008年の北京オリンピックと2020年東京オリンピックを比べたつぶやきも流れたが、実のところ中国でも今では2008年北京オリンピックを覚えている人はもうあまりいない。当時政府が厳しい入場管理制限を敷いたためにせっかくの「地元」でもその興奮が共有されず、その結果人々の記憶からもうすでに遠ざかってしまっているのだ。

 だが彼らは2020年の東京オリンピック開催時には自分が見に行くことができるだろうか、と素直にわくわくしている。08年に比べ、日本旅行は彼らにとってまだ簡単に手に取れるとはいえないまでも、身辺で日本に旅行や出張に行ったことのある人がチラホラと出現し始めた。自分たちの口に合う和食も体験し、インターネットでは日本の情報が流れている。今はまだお金もないしビザ取得条件にも見合わないけれど、7年後には自分も日本にオリンピックを見に行ける身分になっているだろうか。

 彼らに2020年オリンピックの話題を向けてみると、日本との距離の近さが彼らにとってヨーロッパやアメリカで行われるのとは別の期待感になってあふれだす。7年後の自分は一体どんな暮らしをしているのだろう?

 日本には「2020年オリンピックを中国(あるいは韓国)がボイコットするかもしれない」などと早速言っている御仁がおられるが、彼らに時間の流れというものを知っているのだろうか、と問うてみたい。長々と論を述べておられる方のプロフィールを拝見するに、7年後にはかなりのお歳になられるとお見受けしたが、この方はご自分が歩んできた時間の流れの中で変化というものを理解してきたことすらさっぱりと健忘しているらしい。

 もし、日本が2020年オリンピックに未来を託すとしたら、今はまだ若いけれども7年後には社会を支える重要な力になっている世代の存在を忘れてはいけないと思う。いや忘れるどころか彼らにとってオリンピックがどんな場になるのかを今から考えるべきだろう。今会社のトップや社会の重鎮担っている人たちは7年後にはすでに前線から外れているだろう。それからの社会はその後の未来を作っていく人たちに任せるべきなのだ。

 そしてもし、2020年オリンピックをきっかけに近隣諸国との関係が少しでも変化してくれれば、と願うのであれば、今の古臭い頭で7年後を決めつける必要はないはずだ。あなたは知らないかもしれないが、今この時この瞬間に日本の文化を楽しみ、そこに日本の価値観を認めている若者がいるのである。すでに老眼でそれすらも霞んで見えない人に7年後の心配なぞしていただかなくてもいいだろう。

 中国においても同じだ。日本の文化を自然に受け入れ楽しんでいる80年代生まれは7年後には中国を支える大黒柱になっている。その時に彼らと一緒に東京オリンピックを楽しめたらどんなにいいだろう。そのためになにをすべきか。なにをこれから考えていくべきか。今は「予言」めいたことを言う時期ではなく、そこから始めるべきだ。

 最後にヒントとして、東京オリンピック招聘キャンペーンのマスコットだったドラえもんに、中国や香港、台湾の世代を超えた人たちがとても親近感を寄せていたことをここでお伝えしておこう。日本が本当にアピールできるもの、それをもっと今の日本の足元から振り返ってみるといいはずだ。




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