1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際

民主政治は最悪の政治形態だが、それは他よりましなのか - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2013年10月15日 15時3分

 日本の直面している問題は、これとは異質だ。本来は多数党の党首が首相になる議院内閣制のほうが大統領制のような「二元代表制」より権力が首相に集中して指導力が発揮しやすい。衆参両院のねじれも、日本だけの現象ではない。しかし日本では、アメリカとは逆に党派的対立が国会で表面化せず、国会対策委員長会談などの「根回し」で解決される。

 ここでは全員一致が原則なので、野党が強く反対する法案は後回しにされ、会期切れで継続審議になる。これは多数決で押し切る議会政治とは異なるルールで、村落共同体の伝統によるものだろう。その結果、国民がいやがる歳出削減は果てしなく先送りされ、誰もが好む金融緩和や景気対策が繰り返され、政府債務が膨張する。

 各国の経済政策の行き詰まりの背景には、こうした民主政治の欠陥がある。特に日本の政府債務が重症なのは、過剰な民主政治が原因だ。安倍首相も日銀バッシングには熱心だったが、その効果がないとわかると昔のバラマキ財政に回帰してしまった。このままではアメリカと同じ財政破綻に、日本はゆっくり確実に近づいてゆく。

 チャーチルの有名な「民主政治は最悪の政治形態である――これまで試みられた他の形態を除いては」という言葉の前半は正しいが、後半はどうかわからない。近代的な民主政治が行なわれているのは、たかだかここ300年ぐらいの西洋圏だけで、すべての国がすべての政治形態を試みたわけではないからだ。それぞれの国の特殊性に応じた、統治機構の再設計が必要だろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください