ガラパゴス化した日本の「ドラマ」、コンテンツ輸出にはどんな工夫が必要か? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2013年11月19日 11時51分
一つには「どう考えても国内向け」のコンテンツを、ムリに海外に出すというのは止めた方がいいということ、更に国内では許されても海外では理解されない表現について、演出上の配慮をする必要があるということがあると思います。ですが、問題はそれだけではありません。
重要なのは、日本というローカルに根ざしていながら、いや根ざしているがゆえに、2010年代という現代のグローバルな課題、人類共通の課題に迫る「何か」をしっかり表現できているということです。
例えば、押井守氏の『攻殻機動隊』は、現代のスノーデン事件に至る「ITと管理社会」の問題を他に例を見ない先見性と先鋭性を持って表現していたわけです。宮崎駿氏の『千と千尋の神隠し』も、主人公の少女のなんとも言えない「イノセンス」を表現して例えばディズニーには描けない水準に達していたことが国際的な評価を得た原因だと思います。
また、映画の世界では、小津安二郎監督作品に続いて、最近では成瀬巳喜男監督作品が欧米でブームになっていますが、それも男女の人情の機微を冷徹なまでに描いている演出のクオリティが、美術や撮影、音楽などのチームワークの質も含めて国境を越えているということが理由だと思うのです。国際的に通用する作品にするには、そうした高いクオリティを持ちながら、現代という時代を描く表現を作っていかねばなりません。いずれにしても、「コンテンツ輸出」というのは、甘い話ではないと思います。
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