「夢のエネルギー」核融合は実現目前?
ニューズウィーク日本版 / 2013年11月22日 12時53分
「点火」まではあと一歩
モーゼスによれば、史上最大級の科学の進歩はすぐそこだ。「この数週間で、(ペレットに照射する)エネルギー量は1年前の4倍に達した。『点火』まではあと一歩だ」
研究者たちが目指しているのは核融合反応が連続して起き、投入したものよりも大きなエネルギーが発生する「点火」と呼ばれる段階だ。点火に至るためには、レーザーを今よりも20〜25%高速化する必要があるとモーゼスは考えている。
いったん点火にたどり着けば、エネルギーを電力に換えるのはそう難しくないだろうとモーゼスは言う。核融合で発生した中性子は、周囲を覆うリチウムの層に飛び込む。するとリチウムの温度が上昇するので、この熱で水を蒸気にしてタービンを回せば電気の出来上がりだ。
ここまでくれば、これまでの発電とそう変わりはない。「公害とは無縁で、燃料として少しの水を使うだけで済むという点が違うだけだ」と、モーゼスは言う。
[2013.11.19号掲載]
ロクサンヌ・パーマー
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