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日本は「美しく老いる」ことができるか - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2013年11月26日 18時28分

 最大の問題は財政だ。経常黒字(家計貯蓄)が減ると、財政赤字をファイナンスすることが困難になる。今のペースで政府債務(1000兆円)が拡大すると、あと10年ぐらいで個人金融資産を食いつぶすが、その前に長期金利の上昇(国債価格の下落)が始まるだろう。これは財政を破綻させるばかりでなく、日銀が200兆円を超える国債を抱えると金融危機を起こすおそれもある。

 安倍首相も日銀の黒田総裁も、日本の置かれている状況を取り違えている。日本はもう世界にものを売って外貨を稼ぐ若い国ではなく、今までのストックで食っていく老大国なのだ。無理にインフレ・円安にすると、資産が目減りして貧しくなるだけだ。

 欧米でも景気低迷が続いている。これは一時的な金融危機の後遺症ではなく、経済の成熟や人口減少による長期停滞ではないか、とローレンス・サマーズ(ハーバード大学教授)はIMF年次総会で示唆した。日本は世界に先駆けて急速な高齢化と人口減少を経験するので、優雅に衰退する方法を考えたほうがいい。

 しかし美しく老いることはむずかしい。誰もがまだ若いと思いたがる。黒田総裁はゆるやかな下り坂で一杯にアクセルをふかし、崖に向かって突っ走っているようにみえる。10月の金融政策決定会合では、3人の審議委員が無謀な超緩和路線に反旗を翻した。ジリ貧になるだけならまだいいが、国民を「ドカ貧」に巻き込むのはやめてほしいものだ。

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