「スナップチャット、お前もか」の創業ウラ話 - 瀧口範子 @シリコンバレーJournal
ニューズウィーク日本版 / 2013年11月30日 13時12分
リークされたビデオでは、その「スナップチャットのアイデアは、あなたが考えついたものか?」「ブラウンは、スナップチャットへの貢献に対して何らかの報酬を得るべきだと思うか?」と相手方の弁護士に問いただされ、スピーゲルが最後には「ブラウンは、何らかの報酬を受け取るべきだと思う」と発言するに至っている。これまでは、ブラウンの関与を否定し続けていた。これで、ブラウンはスナップチャットの所有権を現金か株で得られることが決定的になったと見られている。
それにしても、この手の創業者間の争いは、聞くだけでも嫌な感じがする話題だ。そもそもなぜそうした争いが起こるのか。その理由はいろいろある。
実際に会社を始めてみたら方針が違っていたとか、相性が悪かったとか、そうしたことがまずひとつ。あるいは、相手がちゃんと仕事をしないので追い出したというケースもあるようだ。スナップチャットの場合は、特許申請で誰の名前を筆頭にするかでもめたらしい。
相手を追い出す際に、それなりの説明と交渉を行って、未公開株の取り分なども決定しておけば問題はないのだが、スナップチャットの場合は、いきなりブラウンが会社のアカウントにアクセスするのを不能にしてしまったという。まるで小学生がやる仲間はずれのレベルだ。
だが、その後がさらに悪い。スピーゲルが、アイデアをすっかり自分のものにしてしまっているからだ。「友達に女の子の写真を送っても、それが残らなきゃいいのになあ、って誰かが言うのを耳にして、じゃあ消えちゃうしくみにすればいいんだと思いついたんだよ」などと、方々で語っているのだ。ウソの物語や願望が、彼の頭の中ではすっかり事実にすり替わってしまっている。驚くべきだが、こういうことは実によくあるのだ。
もっと嫌なケースは、ベンチャー・キャピタルから資金を受ける段階になって、自分の取り分を増やしたい、あるいはベンチャー・キャピタルが取り分を増やそうとして、邪魔者に見える仲間を追い出してしまうような場合。
会社として先鋭的にやっていかなければならないとプレッシャーをかけられると、これまで寝ずに開発に励んできた仲間だというのに、力不足に見えてしまったりするのだろう。これからやっと本格的に会社としてスタートする、というその時に押し出されてしまう仲間も多いのだ。
スタートアップは協同組合ではないから、効率的な運営と利益を目指すのは妥当なことだ。けれども、今やスタートアップは金融商品化してしまっているようなところがあって、そのまわりに渦巻く欲望と切り離せなくなっている。子供っぽい仲間はずれに見えても、意識の背後にあるのは何1000万ドルもの取り分なのだ。
シリコンバレーでは、もう「みんな」と言っていいほど多くの若者がスタートアップを目指している。この手の嫌な話はこれからもっと出てくるだろう。人間模様の観察としては面白いが、あまり気分のいいストーリーではない。
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