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元秘書が解くビートルズ50年の「封印」

ニューズウィーク日本版 / 2013年12月6日 16時37分

──メンバーの家族ともとても仲がよかったようですが。

 仕事でオフィスとメンバーの家を行き来するうちに、彼らにとっての私が、また私にとっても彼らが自然とかけがえのない友人になりました。特にリンゴの家族とは今でも毎週日曜に会うほど。マッカートニー家とも付き合いが続いています。

 あの当時、私のようにビートルズの家族と親しくなった人はいなかったんですが、それは私の立場が関係しているように思います。契約書関係の仕事をしていたことで、彼らの仕事が今後どうなるか、彼らがいま何を考えているか、という家族が知りたい事を知っていたことが1つの理由ではないでしょうか。

──お話を聞くほど、ビートルズは僕らと変わらない普通の人たちだった、と実感します。

 もちろんそう。まだ若い17歳の娘だったことで、彼らが私を守ってくれたように今では感じます。



──映画を見ていて、(マネージャーの)ブライアン・エプスタインはとても厳しい人だった、という印象を受けました。

 ええ、とても厳しい人でした。彼はオフィスでは特に厳しく、ミスを許さないところがありました。ミスを繰り返すなんてとんでもない、という感じ。でも、ある時2人とも仕事が夜遅くまで終わらなかった時、リバプールの古いレストランに食事に連れて行ってくれた。

 ただ、仕事の時はあくまで「ボス」。絶対に「エピー」という愛称で面と向かって呼ぶなんて考えられなかった。あくまで「ミスター・エプスタイン」あるいは「ミスター・ブライアン」。

──ただ彼がいたからこそビートルズが成功したのでは?

 もしブライアン・エプスタインがいなくても、ビートルズは一定の成功は収めたと思うわ。これほどの成功だったかどうかは別にして。よく彼を「5人目のビートルズ」と呼ぶ人がいますが、私はそうは思いません。むしろ、(ビートルズのロードマネージャーだった)ニール・アスピノールの方が「5人目のビートルズ」でしょう。メンバーが一番信頼していた人だから。

 私は「5人目のビートルズ」とか「6人目のビートルズ」という言い方は嫌い。彼らがいなくても、ビートルズはある程度の成功はしたはずです。

 彼らには単なる才能ではない、何かがあったの。それは見ればわかる。生のビートルズを見れば、きっと誰でも分かるはずです。

長岡義博(本誌記者)


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