年明けの都知事選、どうして盛り上がらないのか? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2013年12月24日 11時27分
五輪を契機として「遠来のお客さんをもてなす」という姿勢を、都市として明確にするのは大切なことです。ですが、その「もてなし」というのは、無償の献身ばかりで個々人に消耗を強いるものであってはならないと思います。無償のボランティアと、しっかり労働の対価の払われる有償のプロフェッショナリズムがうまくバランスしてこそ、都市全体の「もてなし」が可能になるのだと思います。
オリンピックを契機とした国際化の問題も、「ソフト」の部分の都市計画に関する問題です。「英語が通じる都市」にするといったスローガンを立てるのは簡単ですが、具体的に東京という都市全体で「どこでも英語によるサービスが受けられる」とか「どこでも異文化に配慮した丁寧なコミュニケーション姿勢が徹底している」といったことを実現するには、緻密な計画を立てた上での実行が必要でしょう。
では、そのように多くの「選択肢」を抱えている一方で、毎回の東京都知事選が盛り上がらないのはどうしてなのでしょう? 都市計画や一極集中問題とは無関係の「人間ドラマ」や「左右のイデオロギー対立のドラマ」だけの低調な選挙がどうして続いているのでしょうか?
それは、東京の民主主義のレベルが低いからではないと思います。1つには、東京というコミュニティが、10年先、20年先を考える余裕を失っているという問題があげられます。また、巨大都市ではあっても、個々の人々は職場や学園などの閉鎖的な人間関係の中に囲い込まれてしまい、都市全体の課題を意識することが難しくなっているということもあるように思います。今回の都知事選が、そうした東京という都市の持つ脆弱性を見つめ直す機会になって欲しいと思います。
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