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アベノミクスという「偽薬」で上がったのは株価だけだった - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2013年12月24日 19時33分

 しかし株価が1年で50%以上も上がる現象は、1980年代後半のバブル期にもなかった。上昇率が最高だった1986年でも47%だ。今の株価は絶対水準ではバブルとはいえないが、上昇率は異常である。80年代後半の実質成長率は、年率5%以上だったのだ。

 要するに「アベノミクス景気」は、円安・株高による「期待」で資産価格が上がっただけで、実体経済は1%程度の低成長にとどまっているのだ。これは危険な兆候である。長期的にはどこの国でも、株価上昇率は名目成長率との相関が高い。80年代後半に日経平均は3倍になったが、名目GDPは30%しか上がらなかった。このギャップが、90年代のバブル崩壊で調整されたのだ。

 もちろん「アンチビジネス」でバラマキ福祉しか経済政策のなかった民主党政権に比べれば自民党政権のほうがましだが、今までの景気上昇は民主党がひどすぎたことの反動と、安倍政権に期待する心理的な偽薬効果である。

 「病は気から」だから偽薬もきくときがあるが、病気はなおらない。偽薬で症状を抑えているうちに、病気が悪化することもある。雇用規制の緩和は先送りされ、薬のネット販売はまた禁止され、原発はいまだに動かない。来年になって偽薬の効果が切れると、病気がぶり返すのではないか。

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