汚染水の語られざる現実【後編】
ニューズウィーク日本版 / 2013年12月25日 13時13分
国民の議論参加がカギ
汚染水問題という途方もない難題により、日本政府は苦境に立たされている。
政府が原発事故によるすべての汚染を封じ込め、国民の信頼を取り戻すことができるならば、それに越したことはない。しかし現実を考えれば、資金的、人的および時間的資源には限りがあるだろう。
国民の守り手として、政府は公衆衛生に対するプラスの効果を財政的負担、作業員の安全性、成功の確率と照らし合わせて対策を検討するべきだ。そしてもちろん、議論には国民が積極的に参加する必要がある。
『ウォーターワールド』は大赤字を出した失敗作として記憶されている。だが、話はそれで終わったわけではない。その後、DVDの売り上げなどでじわじわと収益を伸ばし、公開時の赤字は回収された。時間はずいぶんかかったが、最終的に『ウォーターワールド』は成功作となったのだ。
福島第一原発の事故から2年半、当初の混乱はともかく事故処理は着々と進んでいる。再臨界という最悪の事態も、どうやら回避できているようだ。
汚染水は一筋縄ではいかない複雑な難題であり、解決までには莫大な費用の掛かる、長く苦しい道のりが待っている。しかし国民をしっかり議論に巻き込むことができれば、その解決策が「失敗作」とならずに済む可能性は残っている。
※筆者のリード・タナカは米海軍で25年以上にわたって原子力対策を担当し、福島第一原発の事故直後には在日米軍司令官および駐日米国大使の放射能対策顧問を務めた。デービッド・ロバーツは物理学者で、福島の事故対応の時期に駐日米国大使の科学顧問を務めた
[2013.11.12号掲載]
リード・タナカ(元在日米軍司令官放射能問題顧問)、デービッド・ロバーツ(物理学者・元駐日米国大使科学顧問)
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