英霊をとむらうことより大事なのは新たな英霊を出さないこと - 池田信夫 エコノMIX異論正論
ニューズウィーク日本版 / 2014年1月7日 19時7分
慰霊しても、死者は帰ってこない。ドライにいうと、靖国神社にまつられている「英霊」はサンクコスト(埋没費用)である。1930年代に、対米交渉で中国からの撤兵を要求したアメリカに対して、東條英機陸軍大臣は「ここで引き下がったら英霊に申し訳が立たない」と拒否し、結果的には300万人以上の英霊をつくってしまった。
もちろん死者をとむらう気持ちは大事だが、もっと大事なのはこれから新たな英霊を出さないことだ。安倍首相は国家安全保障戦略でも「愛国心」を鼓舞しているが、戦略とは相手の出方を計算して合理的に立てるもので、愛国心とは別だ。「英霊をとむらう」という感情論で日米同盟を壊すのは本末転倒である。
相手の戦力も考えないで、愛国心だけで突撃しても戦争には勝てない。国益のためには、不愉快な自重も撤退もするのが戦略的行動だ――特攻隊やバンザイ突撃で死んだ英霊は、感情論の先行する戦争の愚かさを教えている。その教訓に学ぶことが、彼らの死に報いる道ではないか。
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