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30分でできる「3兆円の緊急経済対策」 - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年1月14日 15時48分

 要するに、安全審査が終わっても実質的な安全性は変わらないのだ。安全審査は「政府も努力している」というアリバイづくりなので、今できないことは審査後もできないし、審査後にできることは今でもできる。「安全審査に合格しないと運転できない」という前例をつくると、これから安全基準を変更するたびに全国の原発を止めなければならない。

 原子力のリスクはゼロではないし、ゼロにする必要もない。中国のPM2.5汚染をみてもわかるように、石炭の大気汚染や採掘事故で死んでいる人は、全世界で年間1万人以上いると推定される。地球温暖化も考えると、原発のリスクは火力より小さいというのが、IEA(国際エネルギー機関)やOECD(経済協力開発機構)などの見解である。

 安全審査には9ヶ月ぐらいかかるといわれているので、今のままでは再稼動は早くても4月だろう。それも四国電力や九州電力で、最大の焦点である東電の柏崎刈羽原発は夏までに運転できるかどうか不透明だ。新潟県の泉田知事が法的根拠のない「地元の同意」を条件にしているので、政府が決断しないと再稼動はずるずると遅れるおそれが強い。

 安倍首相はリスクのともなう政治判断を先送りしてきたが、再稼動の政治的リスクは先送りしても同じだ。再稼動は首相の記者会見だけでいいので、30分もあればできる。これで年間3兆円の負担がなくなり、日本経済が再生する。それがコストゼロで即効性のある「緊急経済対策」だ。

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