ビットコインをめぐる5つの誤解を解く
ニューズウィーク日本版 / 2014年1月15日 15時9分
昨年から話題の仮想通貨「ビットコイン」。年末には1ビットコイン=約800ドルと年初の約60倍まで高騰した。年の初めに100ドル分投資していれば、年の終わりには6000ドル以上に大化けしていた計算だ。ならば「今年こそ」と投資を始める前に、ビットコインに関する5つの誤解を解いておこう。
1)通貨である
どの国の政府もビットコインを正式な通貨と認めていない。ドイツは合法な決済手段として認めているが、これは課税対象にしたいという理由からだ。
とはいえ、通貨と認められていないから、あるいは中国のように非合法化する国があるからといって、価値を失うわけではない。ビットコインは実物資産のような価値を持ち、個人間の決済システムとしてはそれ以上の価値があるかもしれない。
ビットコインは大物からも支持されている。フェイスブックの元となるアイデアをめぐりマーク・ザッカーバーグと争ったウィンクルボス兄弟や、ヴァージングループの創業者リチャード・ブランソンといった著名人がビットコインを推奨している。
ビットコインによる支払いを導入する店舗は日に日に増加。各国政府も注目し始めているのは間違いない。
2)ねずみ講の一種
ビットコインに関する議論には「ねずみ講」という言葉が付きまとう。だがそれは間違いだ。分散型の通貨であり、詐欺集団がいるわけではない。
3)絶対に高騰(暴落)する
ビットコインの価格変動は激しい。それでも昨年初めの時点で、ここまで高騰すると予想した人は誰もいなかっただろう。
ウィンクルボス兄弟は先日、ビットコインの価値はいずれ4万ドルまで上昇するだろうと語った。しかし大物投資家が上がると言ったからといって、上がるとは限らない。実際、ウィンクルボス兄弟が購入した昨年4月10日の翌日にビットコインは大暴落した。
上がり過ぎた価格は、近いうちにまた暴落するとみる向きもある。おそらく高騰と暴落、どちらも起き得るだろう。ビットコインの価格は相場次第なのだから。ゆえに乱高下しやすく、今後も大幅な変動が続くと予想される。どう転ぶかは賭けだ。
4)簡単に儲かる
前述のとおりビットコイン価格は変動の振り幅が大きいので、儲けるのは容易ではない。短期的にはいくらか利益が出るかもしれないが、投資に回せる大量の余剰資金がない限り、既存の株式市場で「成長株」を狙うほうが一般投資家向きだろう。長期投資を行うなら、歴史の浅いビットコイン市場より実績のある市場が適している。
しかもビットコインの急騰が始まったのはこの2カ月ほどのことにすぎない。昨年の大半の時期は90ドルと250ドルの間を行き来していた。
また、ビットコインは「製造」が困難になってきている。生成に使われるアルゴリズムには特殊なコンピューターが必要だ。だがビットコインの知名度が高まるにつれ、処理速度の速いグラフィックカードの生産が需要に追い付かなくなっている。
5)違法行為に悪用されている
昨年ビットコインに注目が集まった最大の要因は、麻薬取引などの闇サイト「シルクロード」の摘発だろう。仮想通貨の匿名性や金融機関の不在は、闇サイト利用者に好都合だった。
だがシルクロードは閉鎖されてもビットコインは生き残ったことで、ビットコインの「犯罪の匂い」は薄れた。今でもビットコインと違法行為の関連を疑う人はいる。それでも導入する店が増えている事実は、まっとうな取引に使われている証拠だ。
キャメロン・フラー
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