マリフアナ解禁の莫大な経済効果
ニューズウィーク日本版 / 2014年1月22日 15時18分
アメリカで、マリフアナを解禁する準備が着々と進んでいる。嗜好品をめぐる動きとしては、1920年代の禁酒法以来の試みだろう。
コロラド州とワシントン州は嗜好品としてのマリフアナ使用を既に合法化した。この調子なら、全米で解禁されるのは時間の問題だ。
興味深いのは、マリフアナの使用禁止が禁酒法と非常に似た弊害をもたらしたこと。犯罪は急増し、税収が減り、違法な利用を減らす効果はほとんどなかった。
そのことは現在の闇市場の規模を見れば一目瞭然だ。マリフアナがどれだけ違法に消費されているかを正確に把握するのは困難だが、1オンス(約28グラム)の末端価格を185ドル、年間消費量を1億8000万オンスとする政府の麻薬管理政策局(ONDCP)によるデータに基づいて算出すると、少なくとも330億ドルの規模に上る。
ほかにも、700億ドル(米マリフアナ栽培反対運動)というものから、1000億ドル(米シェパード大学講師のジョン・ゲットマン)と、推定値は幅広い。
その中の最大の数字で比較すれば、マリフアナの市場規模はたばこ(910億ドル)のそれに匹敵する。アメリカ国民のビール年間消費量(970億ドル)と比べても遜色ない。
ビールの消費が減り、たばこが時代遅れになっている現状を考えれば、全米でマリフアナが合法化された暁には消費量が急拡大しそうだ。
税務政策センターによれば、マリフアナが解禁されて取り締まり費用が要らなくなれば、90億ドル程度の節約効果が期待できるという。
さらに大きな可能性もある。カリフォルニア州査定平準局が09年に行った研究によれば、マリフアナに課す売上税から微収できる税収はカリフォルニア州だけで14億ドルにも上る見込みという。
しかもこうした推計には、マリフアナ解禁で拡大するだろうマリフアナ栽培から加工、流通等の幅広い産業からの税収は含まれていない。
好むと好まざるとにかかわらず、マリフアナは今やアメリカ最大の金のなる木であり、その規模はトウモロコシと小麦の合計を上回るということだ。地下経済から表に出ることで大規模栽培による効率化も期待できる。有望産業の誕生に備えよう。
[2014.1.21号掲載]
アナ・バーナセク
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