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追悼、フィリップ・シーモア・ホフマン - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2014年2月4日 13時24分

 とりあえず5本を振り返ってみて思うのですが、ホフマンは若い時から「チョイ悪+鋭利な知性+早口+人情味」という要素のキャラがやや固定していました。その意味では、大ヒット作の『ミッション・インポシブル3』とか一連の『ハンガー・ゲーム』シリーズなどエンタメ系の「悪役」などは、彼にしては「朝飯前」だったのだと思います。

 ですが、『マグノリア』で見せたピュアな静謐感というのもホフマンは本当にキチンと演じていました。決して大傑作ではないのですが、人情味を重視した医師の伝記映画『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』でも主人公の同僚にして理解者の役で、実に「きれいな」演技と透明な笑顔を表現していたのが印象に残っています。

 彼がこれから先、50代、60代へと進む中で「知的チョイ悪キャラ」だけでなく、静謐で透明なキャラクターの表現をどんどん深めていってくれたら、そんな思いは、しかし永遠に叶わないことになりました。

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