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アメリカでも大変な「大雪」問題 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2014年2月18日 12時10分

 一方で、一連の「スノーストーム」に関して、ニューヨークでは醜いトラブルも起きています。今年の1月に20年間続いた保守市政を終わらせて、市長に就任したリベラル派のビル・デブラシオ市長は、この冬の度重なる降雪のたびに物議を醸しています。

 まず1月初旬の大雪の際には、マンハッタン島の中心部にある「アッパーイースト」地区での除雪が遅れて大騒ぎになりました。それこそ、今回の東京都心の混乱と同じように、どんどん雪が積もって全く除雪車が来ない。そして大雪の翌日になっても除雪サービスは来なかったのです。怒った市民は市役所に抗議を行う一方で、個人主義の極端なマンハッタンでは珍しく「町内で力を合わせて自主的に除雪活動を行う」光景も見られたのです。

 どうして「アッパーイースト」に除雪が来なかったのでしょう? どうやらデブラシオ市長は「意図的に」行ったようです。意図的に除雪対象から外したのであれば問題ですが、勿論そうではなく、要するに「除雪の順番を変えた」のです。市長は就任前にブルームバーグ市政の下で、市政を監視する「オンブズマン」をやっていたのですが、その際に「貧困地区の除雪が後回しになるのは問題だ」という運動をやっていたのだそうです。そこで市長就任と同時に、自説を実行するために貧困地区を徹底して優先した、これが真相のようです。



 ですが、自分のスタイルで市政を行うにしても、やり方が余りに極端であり、説明も全く無かったことから市民の不満は爆発しています。NBCの「全米で最も有名なお天気キャスター」であるアル・ロッカーなどが、徹底した批判で市長を追い込み、最終的に市長は謝罪に追い込まれています。

 ところが、先週の17日の大雪の際、再びデブラシオ市長はアル・ロッカーとツイッター上で口論になりました。この日は、ニューヨークでも30センチ近い降雪があったのですが、市長は市内の公立学校をオープンしたのです。降雪量からするとやや異常な判断で、しかも一旦子供たちを学校に集めたものの、道路の状況が悪化したために学校を早めにクローズしているのです。

 大雪時に危険を覚悟で子供を学校に連れて行くのも大変で、親も教師も大変な労力をかけなくてはならない、とにかく市長の判断はメチャクチャだというのです。ロッカーは「この市長は一期で終わりかも」などという激しいツイートも行っていました(後に撤回)。では、どうして市長は強引に学校をオープンしたのでしょうか? これも彼なりの政治姿勢らしいのです。

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