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アメリカが見捨てた中東に核軍拡の危険

ニューズウィーク日本版 / 2014年2月25日 15時29分

 最も警戒すべきシナリオは、2大国の宗派戦争が核軍拡競争に発展するというものだ。サウジアラビア当局はイランの核開発に対抗して何らかの抑止力を持つ可能性をほのめかしている。パキスタンからの技術提供を念頭に置いているのだろう。

 この原稿を書いている時点でイラク軍はファルージャを包囲し、市内への侵攻に備えているもようだ。10年ほど前、米軍は武装組織からこの都市を奪還するためにベトナム戦争以来最も血なまぐさい戦闘を繰り広げた。

 今回はイラク軍とアルカイダ、おおむねシーア派とスンニ派が対峙する構図だが、アメリカもそこに一枚かんでいる。米国防総省は空対地ミサイル「ヘルファイア」500基をイラクに8200万ドルで売却すると発表した。イラクはかつて、アメリカにとって民主主義を広めるための壮大な実験の場だった。だが、今では顧客というわけだ。

[2014.2.25号掲載]
ウィリアム・ドブソン(スレート誌政治・外交担当エディター)


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