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ロボット・ジャーナリストの登場で記者は用済みに - 瀧口範子 @シリコンバレーJournal

ニューズウィーク日本版 / 2014年3月26日 14時25分

 金融記事の場合は、業績の内容、株価の変動、社内の誰が株を売ったかといったような内容だ。こうしたニュースを一般読者に向けるのではなく、特定の株主のためにパーソナライズすることも、ロボットには簡単にできるらしい。

 最近よく、「ロボット技術の発展で失われる職業は何か」といったことが話題になる。製造現場の工員、兵士、レジの店員、薬剤師などと並んで、ジャーリストや弁護士などが出てくるのをご存知だろうか。

 弁護士に代わって、前例やドキュメントに目を通すような作業は高度なソフトウェアが行うようになる。そしてジャーナリストに代わって、データや分散したニュースから、それなりに読み応えのある記事を構築、生成するのはロボット・ジャーナリストだ。ロボット・ジャーナリストがピューリッツァー賞を受賞する日もいずれやってくると予言する関係者もいるほどだ。

 ピューリッツァー賞はどうか知らないが、人間のジャーナリストがどうすればロボットと差別化できるかに知恵を絞らなければならないのは確かだ。ロボットは、人々がツイートしているようなちょっとした小話を総合して、エモーショナルなストーリーに仕立てたりもできるようになるだろう。人間が一人でできないことをAIは難なくやってしまうから、記者が「独自に取材して記事にする」と息巻いたところで、本当の勝ち目を獲得するには、足を使うだけでなく有効に知恵を絞らなくてはなるまい。

 ジャーナリストがロボットに置き換えられる日が今すぐにやってくることはないだろうが、潮流は明らかにその方向へ向かっている。今ですら、貪欲にストーリーを消費するインターネットの中で、書き手はコンテンツ工場の工員になっているようなふしもある。だが、これからはどんどん能力を高めるAIが競争相手になるというわけだ。

 AIの向こうを張るにはどうすればいいか、あるいはAIと一緒に働いた方がいいのか。そんなことを早めに考えた方が得策なのだ。

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