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悪いインフレと「双子の赤字」が国富を食いつぶす - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年4月2日 16時45分

 要するに今回のインフレは、コスト・プッシュによる悪いインフレなのだ。黒田総裁も甘利経済再生担当相も、いまだに2%のインフレ目標にこだわっているが、インフレにするだけなら簡単だ。このまま原発を止めて世界一高いLNGを買い続ければ、総合CPIは上がり、貿易赤字はさらにふくらむ。それで誰がうれしいのだろうか。

 日本は「貿易立国」の時代に巨額の貿易黒字を蓄積し、対外純資産は約300兆円あるが、経常赤字でそれを食いつぶし始めた。国内貯蓄で政府債務をまかなえなくなると、毎年50兆円ぐらい対外債務が増えるので、10年ぐらいで対外純債務国になる可能性もある。

 経常赤字も純債務国も、それ自体は悪いことではない。アメリカも経常赤字で純債務国だが、経済に活力があるので世界中から投資が集まる。しかし日本の企業は「持ち合い」で買収が困難なので、対内直接投資はGDPの3%しかない。貿易赤字を所得収支(金利・配当収入)で埋めているが、海外資産の多くは米国債など低収益の証券だ。

 日本が資産大国になった今、必要なのはフローの所得だけでなく、ストックの価値を維持することだ。この点で、インフレと円安で円資産の価値を下げた異次元緩和は有害だった。もう国富を食いつぶすインフレ政策はやめ、日本経済はこれまで蓄積した資産をグローバルな直接投資で活用する構造に転換する必要がある。

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