「排外発言」とは正反対だった「舞の海氏の講演」(前回エントリのお詫びと訂正) - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2014年5月28日 11時3分
さらに言えば、この講演は、基本的に「昭和の日を祝う」という主旨の、従って保守的な観客が過半であると思われる行事での講演だったわけです。ですが、天皇への賛辞や感謝に関しては一つ一つ史実を丁寧にたどっていましたし、場合によっては「天皇陛下」という呼称と「天皇」という用語を使い分けて、過剰敬語にならない工夫をするなど、非常に知的でバランス感覚に溢れたものであったと思います。それでいて、聴衆に対して不快感は与えず、しかもエンターテインメント性も加えているのですから、正にプロの講演に他なりません。
外国人力士に関しては、排斥の声があるという指摘をした時点で、場内から拍手とともに「先生ガンバレ」という掛け声が飛んだのは事実ですが、これに対しても、舞の海氏は「それはできません」とキッパリ取り下げていました。
いずれにしても、特定のイデオロギーを前提としたものとはいえ、私が当初参考にした『週刊金曜日』の記事は全く講演内容を歪曲して報道しているとしか言いようがありません。この記事の表現では、舞の海氏の講演の主旨と全く正反対の印象が伝播することになります。今回は偶然ですが、一次情報が入手できたのでこうして訂正も可能ですが、以降は私としても十分に注意していきたいと思います。
一つだけ申し上げておきたいのは、百歩譲って「昭和の日を祝う」という行事全体について政治的に反対の立場からの報道であるにしても、講師の舞の海氏は、特定のイデオロギーを持った主催団体、そして過半数の聴衆を前にして、実にバランス感覚あふれる慎重な表現に終始していたわけです。その点を全く異なる印象の記事に仕立てるということは、ジャーナリズムとして実に残念だということです。
本来でしたら、元記事は削除した上で訂正とお詫びをするのが自然とも思いましたが、この『週刊金曜日』の報道が一人歩きする中で、まだまだ舞の海氏への誤解が残っている可能性もあります。従いまして、あえて元記事は削除しないで、講演の本来の内容の紹介も含めて長い訂正記事をアップさせていただくことにしました。
改めまして、舞の海秀平氏にはお詫びを申し上げますし、万が一白鵬関やその周辺に舞の海氏への誤解が残っているようでしたら、どうぞ誤解を解くようにお願いしたいと思います。
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