「超」富裕層はアジアと湾岸諸国に多い
ニューズウィーク日本版 / 2014年6月12日 16時48分
世界で最も金持ちが多い国はどこだろうか。ボストン・コンサルティング・グループが発表した最新リポートによると、富裕世帯数でトップ3を占めるのはアメリカ、中国、そして日本だ。
ただし、億万長者の「人口密度」で比べると、意外な小国が上位に名を連ねる。全人口における富裕層世帯の割合で2013年の1位に輝いたのは、石油資源に恵まれた中東のカタールで、全世帯の17.5%が100万ドル以上の家計金融資産を所有している。2位はスイスの12.7%。さらにシンガポールと香港、クウェートが9〜10%で続く。
1億ドル以上の家計金融資産をもつ「超富裕層」に限ると、世帯数が最も多いのはアメリカ、イギリス、中国となる。一方、「人口密度」では香港、スイス、オーストリアが際立っている。
富裕層にとって、2013年はおおむね明るい1年だった。堅調な証券市場に支えられ、家計金融資産は全世界で14.6%増の152兆ドルに達し、これまで以上に富の集中が進んでいる。
家計金融資産100万ドル以上の富裕世帯数は、前年の1370万世帯から1630万世帯に増加し、世界の全世帯数の1.1%を占めている。
「中国で富が急増したのは、12年に150万世帯だった資産100万ドル以上の世帯が13年には日本を上回る240万世帯に増加したとの表れだ」と、BCGのリポートは述べている。一方、日本では対ドル円相場が15%下落したため、資産100万ドル以上の世帯は150万世帯から120万世帯に減少した。
BCGは、富裕層がさらに豊かになる未来を予測している。「家計資産100万ドル以上の世帯が保有する富は、18年まで少なくとも年率7.7%で増えるだろう。一方、100万ドル以下の世帯の資産は平均3.7%しか増えない」
家計資産1億ドル以上の超富裕世帯が保有する富は、13年時点では世界の富の5.5%に当たる8兆4000億ドル。BCGによれば、これが18年末までに世界の富の6.5%に当たる13兆ドルにまで増えるという。
ただし、豊かな国の一部の人々しか豊かになれないわけでもなさそうだ。BCGのパートナー、ブレント・ビアズリーは「富の集中が進むが、それは新興市場の中産階級の台頭によって相殺される」と語っている。実際、日本を除くアジア諸国では劇的な勢いで富の蓄積が進んでおり、2018年にはアジアがアメリカを抜いて最も豊かな大陸になると、BCGは予測している。
エリック・リントン
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