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クイアバに来て、悔いはない - 森田浩之 ブラジルW杯「退屈」日記

ニューズウィーク日本版 / 2014年6月24日 15時42分

 3都市以外がどのくらい田舎かといえば、たとえば僕が今いるクイアバのホテルは、シャワーのお湯が出ない。まったくの水というわけではないし、シャワーが頑張っていることはわからなくもないが、ぬるい湯がちょろちょろと出るだけだ。レシフェとナタルの宿も似たようなものだった。これらの町の宿は、清潔度の面でもあまり安心できる感じではなかった(もちろんどの町にも一流のホテルはあるのだが、大会関係者の予約でとっくに埋まっているし、空きがあったとしてもべらぼうな特別価格が設定されている)。

 しかも宿から歩ける範囲に、飲食店を含めて商店というものが見当たらない。宿の近辺を歩いていて人とすれ違うことさえ、ほとんどない(だから日本で盛んに言われているような意味で「治安が悪い」とは思えない)。

 それがリオデジャネイロやサンパウロへ行くと、とたんにいろんなことが先進国並みになる。あるいは先進国だのなんだのという枠では測れない、いい味を出してくる。僕はサンパウロの洗練された空気にすっかりやられてしまったし、リオデジャネイロには決勝トーナメントの試合を見に再訪する予定なので、もっといろんな面を味わってきたいと思っている。

 今夜がクイアバの歴史のなかで、滞在する日本人が最も多い夜になることはまちがいない。この町が田舎であることは想定内だった日本人サポーターもいるだろうし、コロンビア戦だけのために組まれたツアーで着いたばかりのファンもたくさんいるだろう。

 日本代表の1次リーグの試合会場には、リオもサンパウロもブラジリアも入らなかった。しかし田舎だということは薄々感じながらも、みんなクイアバにやって来た。お湯の出ないホテルで、ホステルの2段ベッドで、地元の人が貸し出している部屋の隅に置かれたマットレスで、今夜のクイアバではおそらく数千人の日本人が眠りに就いている。いろいろ厄介なことが待ち受けているとわかっていても、こんな町にも人を引きつけてしまうのがワールドカップというイベントの力だ。いつも思うことだが、いったいこれは何なのだろう?

 ともかく日本代表の3戦目は、クイアバ時間の火曜日午後4時に始まる。たぶんとても暑いだろうが、いい試合になることを祈る。

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