中東の金満エアラインがアリタリア航空を救済へ
ニューズウィーク日本版 / 2014年7月3日 13時23分
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに本拠を置くエティハド航空は先週、経営危機にあえぐイタリアのアリタリア航空に49%出資することで合意した。エティハドにとって、最大規模の外国航空会社への投資だ。
英スカイトラックス社の世界航空会社ランキングでアリタリアは100社中70位だが、エティハドは7位。独立したリビングとベッドルーム、シャワールームに加え、専任の執事やコンシェルジュ、シェフまで付いた豪華な客室が人気を呼んでいる。
「欧州は世界の主要地域の中で、航空会社の財政基盤が最も弱い」と、国際航空運送協会(IATA)のトニー・タイラーCEOはローマの会議で述べた。「アリタリアの状況は最悪レベル。(エティハドの出資は)驚きでも何でもない」
タイラーによると、欧州の航空会社全体の今年の税引き後利益の見込額は28億ドル。乗客1人当たり約3.23ドルで、北米系航空会社の3分の1以下だ。
イタリア政府は昨年、6億8100万ドルのアリタリア救済策をまとめたが、今年6月には運転資金が数カ月で底を突く状態に。経営陣は9億5400万ドルの債務圧縮を目指して銀行と交渉中だと明らかにした。
「エティハドは理想的な戦略パートナーであり、当社の長期的な成長見通しを強化するものだ」と、アリタリアのロベルト・コラニーノ会長は語る。現時点で支援の詳細は不明だが、イタリアのルピ運輸相は先月初めに、エティハド側の出資額は7億6160万ドルで、今後数年間に9億4100万ドルを追加出資する見通しだと述べた。
エティハドは03年設立の新しい航空会社だが、政府当局の強力な後押しを受けて世界中に勢力を広げている。欧州ではエールフランス-KLMと業務提携。アイルランドのエアリンガスに4.1%、エアセルビアに49%、スイスのダーウィン航空に33.3%出資している。
ロイター通信によると、4月のエアベルリンへの出資では、エティハドが同社の経営権を握るという噂が流れた。そのため欧州委員会が調査に乗り出し、「航空会社の株主構成に関するEUの法律に合致している」かを問いただしたという。
これに対するエアベルリンの回答は、エティハドは経営諮問委員会の委員11人のうち2人を占めているにすぎないというものだった。
[2014.7. 8号掲載]
キャスリーン・コールダーウッド
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