米議会によるオバマ提訴は可能か? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2014年7月8日 10時47分
移民問題、同性婚の問題、軍事行動の発動と停止、予算に関連した決定など、多くの分野において、オバマは「大統領令」を乱発しており、その結果として、下院を含めた議会に諮って正式に法律として発効させるべき問題を、議会に相談なく実施しているというのです。
ベイナー下院議長によれば、この大統領令の乱発により、下院の政治的使命は十分に果たされておらず、その政治的影響力が損なわれた、ということになります。この点において、個々の議員は提訴の当事者になる能力はないが、連邦議会下院としては訴訟が可能だと主張しています。
問題は、ねじれ議会が続いていることですが、その「ねじれ」の結果として、大統領が自分の政策が議会では通らないことを見越して、「大統領令」を出して一方的に済ます、そうした姿勢があまりにも安易に使われた、争点はここにあるのだと思われます。
それにしても、そもそも下院を代表して下院議長が大統領を訴えることが可能なのでしょうか? 大統領による大統領令の乱発が「下院の権限を損ねた」というロジックで、民事訴訟に持ち込む、そんなことは憲法上可能なのでしょうか?
オバマ大統領は「どうぞ訴えて下さい」と開き直りの姿勢、またアーネスト報道官は「そんな戦術は前代未聞」だとして、提訴自体がテクニカルに不可能という立場を表明しています。ですがこの問題、アメリカ人の大好きな法廷ドラマに発展する可能性もあり、今後の展開には要注意です。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
米政府閉鎖回避、なお不透明=迫る年度末、予算案で続く与野党調整
時事通信 / 2024年9月21日 14時44分
-
【インタビュー】「民主党は労働者の党に戻れ...」サンダースがハリスに示す勝利への道筋
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月6日 13時40分
-
「アメリカ経済」がなんだかんだ好調な根本理由 知られざる「バイデノミクス」の中身と成果
東洋経済オンライン / 2024年9月4日 9時30分
-
「ハリスVSトランプ」米大統領選「経済政策」比較...どちらが勝つと世界と日本にプラス? 最悪シナリオは米国債のデフォルト(2)/第一生命経済研究所・前田和馬さん
J-CASTニュース / 2024年8月30日 20時11分
-
「ハリスVSトランプ」米大統領選「経済政策」比較...どちらが勝つと世界と日本にプラス? 最悪シナリオは米国債のデフォルト(1)/第一生命経済研究所・前田和馬さん
J-CASTニュース / 2024年8月30日 20時10分
ランキング
-
1レバノンのポケベル&トランシーバー連続爆発事件 イスラエル情報機関、火薬埋め込みか
産経ニュース / 2024年9月21日 17時4分
-
2中国メディア、深圳男児殺害犯は「反社会分子」で「愛国」とは無関係強調 政府批判警戒か
産経ニュース / 2024年9月21日 17時47分
-
3「レバノン国家内の国家」ヒズボラ ハマス超え軍事力、衝突拡大ならイスラエルも甚大被害
産経ニュース / 2024年9月21日 17時57分
-
4男児刺殺、靖国落書き…相次ぐ「日本」標的事件 投稿サイトには「日本人学校にスパイ」
産経ニュース / 2024年9月21日 15時0分
-
5スリランカで大統領選=経済再建路線問う、三つどもえ
時事通信 / 2024年9月21日 20時48分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください