全面戦争に備えるイスラエル、地上戦も視野に
ニューズウィーク日本版 / 2014年7月9日 14時53分
イスラム過激派組織ハマスの掃討作戦を拡大させるイスラエルは閣議で、パレスチナ自治区ガザとの境界線に派遣するため、4万人の予備役兵の招集を承認した。イスラエル軍は、予備役兵の招集は直ちには実施しないと表明しているが、今後ハマス掃討作戦が長引く必要が生じれば予備役兵の部隊も出撃準備に入る。
今回の承認はネタニヤフ首相が軍に対し、ハマス掃討作戦に「総力を挙げて」取り組むよう命じたその数時間後に決まった。「戦闘をエスカレートさせたハマスには、重い代償を払ってもらう」と、ネタニヤフは語っている。
イスラエルのモシェ・ヤアロン国防相は、「ハマスへの攻撃の準備はできている。この攻撃は数日では終わらないだろう。イスラエルの都市へのロケット弾攻撃を許すわけにはいかない。ハマスを叩くために、我々はできうる限りの手段を講じて作戦を継続する準備がある」と、話した。
ネタニヤフはまた、軍に対してイスラエル占領地での地上攻撃に備えることも指示した。「閣議の最後にネタニヤフが指示したのは、ガザ地区で、長期に継続する、徹底的で強硬な作戦への準備だった」と、イスラエル政府の幹部職員は地元有力紙ハーレツに語っている。「総力戦に備えろとの指示だ。地上作戦も選択肢に含まれる」
イスラエル軍は8日、ガザ地区で百カ所以上の攻撃目標を空爆し、地元メディアなどはこの日の空爆だけで20人以上が死亡したと伝えている。
ガザ市街地では空爆で車に乗っていたパレスチナ人4人が死亡。南部の都市ハンユニスでは住宅が攻撃目標となり、少なくとも7人が死亡、20人以上がけがをした。死亡したり負傷したりした人たちが一般市民かどうかはすぐには判明しないが、報道によると空爆された住宅はハマス戦闘員が潜伏していたとみられ、死亡者には少女2人が含まれていたという。
先月末、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸でイスラエル人少年3人が殺害されているのが見つかり、続いてエルサレムでパレスチナ人の少年が殺害された。これを受けてイスラエルとパレスチナ自治区ではここ数年で最高レベルにまで緊張が高まっている。
イスラエル警察は、パレスチナ少年の殺害に関与したとしてユダヤ人の容疑者6人を逮捕している。報道によると、少年は「国籍を理由に」殺害されたという。
ジャック・ムーア
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