リトルリーグに現れた「少女エース」の快投 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2014年8月19日 10時34分
昨年もこのブログでお話した、アメリカ東海岸の夏の風物詩、13歳までの子どもたちによるリトルリーグ世界大会は今年も大詰めを迎えています。ペンシルベニア州ウィリアムズポートの専用球場では、世界各国から来た少年少女たちとアメリカの各地方の代表が2週間以上、一緒に合宿生活をしながらトーナメントを戦っているのです。
本稿の時点では、トーナメント参加16チームのうち6チームは2敗して脱落。現在勝ち残っているのは10チームです。最終的には来週の日曜日、24日にアメリカの優勝チームとアメリカ以外のインターナショナルトーナメントの優勝チームが、「世界選手権の決勝戦」を戦うことになっています。
ちなみに、日本代表は2012年に優勝している北砂リトルが参加しており、現在のところ順調に2つ勝っています。昨年、2013年は武蔵府中が優勝していますから、日本としては世界選手権3連覇がかかっているわけです。
ところが、この「常勝チーム日本」はアメリカでは全く話題になっていません。というのは、現在アメリカ代表を目指すトーナメントで「2勝0敗」の好位置につけている、大西洋岸中部代表のペンシルベニア州チーム(フィラデルフィア)のエース、モネ・デイビス投手という13歳の少女エースが大変な話題になっているからです。
リトルリーグでは、1972年にニュージャージー州のホーボーケン市で、少年たちに混じってプレーした少女が、相手チームのクレームで出場機会を奪われるという事件がありました。最終的に女性の権利を主張する団体がサポートして、その措置が違法であるという判決が確定、この判決以降は、少しずつではありますが女性が参加しています。
私の子どもたちがリトルに参加していた90年代から2000年代前半でも私の住む街のリーグにごく少数ではありましたが、少女の選手というのは存在していました。
ですが、デイビス投手は格が違うという感じです。というのは、少年たちに混じって対等にプレーしているのでは「ない」のです。そうではなくて、圧倒的な実力で相手チームの打線を封じてきているのです。
例えば、ウィリアムズポートでの最終トーナメント進出をかけた、大西洋岸中部代表決定の決勝戦(8月10日)では、デラウェア州チームを8対0で完封(リトルのため6回で終了)、更に最終トーナメントの初戦であり、ウィリアムズポートでのデビューとなった8月15日のデラウェア戦でも6回を完封してチームに4対0の勝利をもたらしています。
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