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中高生の「男女別学」にはメリットがあるのか? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2014年8月26日 11時6分

 静岡県の川勝平太知事は7月に行われた県議会の一般質問で、一般論として「15~16歳から20歳前後までの時期に女性の方が早く成熟するという生理学的、生物学的な現実がある。実際上、学校の成績などに表れる」と主張。その上で、静岡県が発足させる人口減少問題を考える有識者会議から「ひょっとすると思春期の男女共学は一度やめてみては」との検証結果が出る可能性があると指摘したそうです。

 同知事は、別学になった場合、「大学で一緒になればお互いの尊敬やあこがれという念が深まるということもあろうかと存じます」と述べたそうです。知事に言わせれば、最近の思春期の女子は「生理学的に男性より早く成熟する。同年齢の男の子より自分の方が成績が高いわけだから、男の子を尊敬するというふうなことがなかなかできにくい」というのです。要するに「男の子の思春期に幼くて格好悪い姿を見せると、女の子は男性一般に幻滅してしまう」ので、少子化になるという理屈です。

 まあ、このロジックは、どちらかと言えば中道主義の知識人である知事自身が、自分の思想と支持基盤の保守票の持っているセンチメントの間を「アクロバット的なレトリック」で埋めている、つまり川勝平太的な「話芸」であって、それ以上でも以下でもないのかもしれません。

 それにしても21世紀のご時世に、思春期の男女別学を推進しようというのですから、何ともため息の出る話ですが、確かに日本では中学や高校を中心に男女別学の伝統が根強く残っています。

 大学の場合は、特に女子短大というカテゴリの人気がなくなった結果、4年生大学への転換や共学化が進んでいるわけですが、中学や高校の場合はそうではないわけです。例えば、東大や京大に多くの合格者を出している「受験校」のほとんどは男子校か女子校ですし、公立高校の場合でも、おかしなことに「北関東以北」の県立高校では男女別学が主流になっています。

 ちなみに、川勝知事のように、改めて「別学の効用を説く」声が現在確かに強まっているのは事実なのです。例えば、女子校というのはどちらかと言えば「良妻賢母」を育てるというよりも、女性のエリートを育成しようという趣旨の学校が多くなっています。この点では、アメリカの女子高校(ガールズ・スクール)と同じだとも言えます。

 具体的な理由としては、共学だと理系の女子は「女のくせに生意気だ」という目で見られるので、女子校の方が「理系女子」を育てるのにはベターだというような話があるわけです。

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