「反原発ムラ」に閉じこもる原子力規制委員会 - 池田信夫 エコノMIX異論正論
ニューズウィーク日本版 / 2014年9月10日 19時22分
敦賀2号機を廃炉にすると約1000億円の資産が失われ、日本原電は経営危機に陥る。原子炉は適法なので、日本原電が合意しないと廃炉にはできない。したがって規制委員会は「廃炉にする」という意思決定もしないで、敦賀2号機の運転認可を無期延期するだろう。現在の耐震基準審査も2006年から始まって完了していないので、同じテンポでやると2020年ぐらいまで引き延ばして「生殺し」にできる。
このような規制委員会の暴走に対して、日本原電が「D-1は活断層ではない」という主張だけを繰り返してきたのは誤った戦術だ。2013年にできた耐震設計指針を、1982年に遡及適用することはできない。行政訴訟に持ち込んで、運転認可を求めるべきだ。敦賀2号機は定期検査もストレステストも終わっているので、規制委員会が(100%出力の)使用前検査を認めれば再稼働できる。
電力会社はこれまで政府の善意を信じて「お願い」してきたが、今の規制委員会は常識的な話の通じる相手ではない。事業者が監督官庁を訴えるのは、アメリカなどでは日常茶飯事であり、何も恥ずかしいことではない。これによって政府と事業者の間に適度な距離ができることは、官民癒着を避ける意味でも望ましい。
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