アップルウォッチに見るイノベーション力 - 瀧口範子 @シリコンバレーJournal
ニューズウィーク日本版 / 2014年9月19日 19時53分
もうひとつ「なるほど」と感じたのは、アプリのホームスクリーンの作り方。ここでは、アプリのアイコンが丸く表示され、それがバブルのようにたくさんスクリーン全面に浮かんでいる。指先のタッチで、その表示範囲を変えたり、ある部分を大きくしたりできる。
もともと、四角っぽいアイコンはアップルの十八番だった。アップルはそれをコンピュータだけでなく、スマートフォンやタブレットに使っていた。他社はこれに追従しただけでなく、ウェアラブルにもそんな四角いアイコンを表示していた。腕時計ほどのサイズしかないウェアラブルはスクリーンが小さいのに、四角だ。したがって、一度にアイコンが数個しか表示できなかった。
大袈裟だが、アップルは自社の伝統ある四角いアイコンを、ウェアラブルのために根底からくつがえしたわけだ。「つながりが感じられるけれども、でも違ったもの」という、ズラして進歩する技を見せた。こんな小さなスクリーンのことをとやかく言うのも変だが、これはけっこうすごいことだと思う。
もうひとつは、振動である。Apple Watchでは視覚的なだけでなく、手首に振動が伝わるフィードバックがある。今でもスマートフォンが振動で着信を教えてくれるものがあるが、Apple Watchではさらに進んで、地図のナビゲーションで左に曲がるとか右に進むとかいった際に、違った振動を伝えるという。使ってみるまでは真の使い心地はわからないが、ウェアラブルという身につける機器に多彩な感覚的インターフェイスを用いているのは、実に新しい。
Apple Watchは、iPhoneがなければ使えないとか、モデルによっては結構高価かもしれないという、ちょっと残念な点もあるが、久しぶりにアップルのイノベーション力を見せられた新製品だ。
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