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なぜ円安になっても製造業が日本に帰ってこないのか - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年9月24日 20時0分

 グローバル資本主義は、このように国境のない企業と国境の中で税金を取る政府の闘いである。昔の日本企業では、利益を付け替えて決算を「お化粧」するのが当たり前だったが、今は税引き後の利益を最大化するように海外拠点を配置する。法人税率や電気代の高い日本に生産拠点を置くのは、トヨタのように義理人情に篤い会社だけだ。

 ピケティは『21世紀の資本論』で、すべての国の対外資産を合計すると対外債務より1割ぐらい少ないと指摘している。つまり世界全体で対外純資産がマイナスなのだ。このように帳尻があわない最大の原因は、タックス・ヘイブン(租税回避地)である。対外純資産を計上しているのは、日本とドイツだけだ。

 資本家にとって重要なのは、世界のどこで生産するかではなく、手取りの利益がいくらになるかだ。そのためには生産コストと税金の安い国で生産するのが当然で、税率ゼロのタックス・ヘイブンが理想だ(各国の税務当局が許さないが)。交易条件の悪化する日本に生産拠点を戻す理由がない。これが円安になっても、製造業が日本に戻ってこない理由である。

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