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大学の国際化を「スーパー」にするための2つの条件とは? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2014年9月29日 11時19分

 例えばアメリカの名門大学の場合は、ノーベル賞受賞者などのスター教授がこうした「入門編」を担当し、週3コマのうち1つを担当、残りの2コマは助教などによる少人数の演習や討論などで授業を構成しています。

 こうした場で真剣に討論や演習に参加して単位を取ってくること、さらにそうした「最先端」のカリキュラムと、帰国後の日本のカリキュラムの「接続」を考えて行かなくては、交換留学の意味は非常に薄くなると思います。



 もう一つは、国外からの留学生の受け入れです。せっかく留学生を受け入れても、かならず「別科」に押し込んで、日本語の語学教育に加えて英語での授業を行う、ただしそこには日本人の「普通に受験して学部学科に属している」学生は出席しないという制度を取っているのが現在の日本の大学です。

 もちろん、その「別科」を担当する中で留学生に日本の文化や社会を深く理解させるような良心的な教育を行っている研究者の方々もいるでしょう。ですが、別科はあくまで別科であり、要するに「出島」なのです。つまり、本体の鎖国を続けるために、留学生を別科に押し込めているというのが、辛口な言い方になりますが実態です。

 これでは、「本体」の国際化は進みません。多くの大学が英語で授業をするコースを作っていて、将来的にはなかなか進まない国際化の突破口にする意図はあるのかもしれませんが、現時点では別科の一種であると言われてもしかたがないと思われる企画がゴロゴロしています。

 例えば、現時点では東京大学で「英語で学士号の取れる」コースというのは、「アジアの中の日本」専攻と、「環境科学」専攻と、「化学の国際コース」だけです。つまり国際化というのは、この3コースの出島に限られてしまっているわけです。その他の分野は、例えばアメリカ政治にしても、英文学にしても、英語では単位は取れません。

 とにかく、「本体」の多くで英語の授業が行われ、同時に「日本語が第二言語の学生」が幅広く日本語の専門科目を取れるような両方の努力がされ、出島だけでなく本体も国際化しなければならないと思います。

 様々な文化圏から来た学生と日本人学生が、ディスカッションを通じて相互に刺激を与える、つまり全ての教室が異文化交流、あるいは複数の価値観の交錯する「白熱教室」になることで、初めて、その大学は国際化したと言えるし、真の国際人を輩出することができるのだと思います。

 いずれにしても、留学したら自分の専門分野の基幹科目で真剣勝負をして単位を取って来させること、留学生を別科という出島に押し込めないこと、最低限この2つを方向性として持たなくては、やはり「スーパー」とは言えないのではないでしょうか。

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