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重罪人の安楽死は本当に人権の尊重か

ニューズウィーク日本版 / 2014年10月14日 12時48分

 つらい状況から死によって救われたいと願うことは、重罪人にも許されるのか。

 ベルギーで先週、強姦殺人などの罪で終身刑となり、収監中だったフランク・ファン・デン・ブリーケンの安楽死が認められた。彼が訴えていたのは、30年間にわたる刑務所での生活による「耐え難い精神的苦痛」。解放されるために安楽死したいと、数年前から求めていた。

 弁護士によれば、ブリーケンは自らの暴力的な性的欲求の克服は不可能だと考え、仮釈放を辞退してきたという。その上で「過去にどんなことをしても、私は人間だ。だから安楽死を認めてほしい」と訴えていた。

 ベルギーでは02年に成人の安楽死を認める法律が成立。昨年は約1800人が死を選んだ。今年3月には、未成年者が安楽死を選ぶことも合法化された。

 根底にあるのは、人権尊重の姿勢だ。だが今回の出来事は、それが時に倫理的な問題を生みかねないことをあらためて浮き彫りにした。「専門家が関心を寄せるのは殺人犯の幸福のことばかり」。ブリーケンに殺された女性の遺族の言葉にも耳を傾ける必要があるだろう。

[2014.9.30号掲載]
藤田岳人(本誌記者)

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