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どちらが有望? FTAAPとTPP

ニューズウィーク日本版 / 2014年11月12日 15時53分

 今週北京で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、アメリカ、ロシアをはじめとする参加国の首脳陣は、アメリカ主導のTPP(環太平洋経済連携協定)に対抗して中国が提唱する「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」の実現に向けて踏み出すことで合意した。

 難航するTPP交渉を横目に見ながらの合意だ。TPP交渉では、日本とアメリカの間で農産物の関税などをめぐって対立が続いている。APECに参加した21の国と地域は、FTAAPの実効性を検証する共同研究を今後2年かけて進めることで合意し、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は「実現に向けての歴史的一歩だ」と評価した。

 APEC閉幕後の記者会見で習近平は、「経済統合を発展させるAPEC地域の自信と決意を示したものだ。この合意は歴史に残るだろう」と、語った。

 一方、アメリカ、日本、メキシコ、オーストラリアなどTPP交渉に参加する12カ国は、APECとは別に北京で会合を開き「大きな進展」があったとする共同声明を出した。

「各国の企業、労働者、農業従事者、そして消費者が、できるだけ早くTPP合意の実質的な利益を享受できるよう、交渉妥結を最優先にすることを担当大臣、交渉担当者に指示した」と、共同声明には書かれている。「交渉で残された問題を解決するには、継続して話し合うことが重要だ」

 TPP交渉に参加しているのはアメリカ、カナダとアジア太平洋地域の10カ国で、中国は入っていない。このためTPPは、アジア太平洋地域での中国の影響拡大に対抗するアメリカ主導の動きと見られている。しかしオバマは今週、新華社通信とのインタビューで、アメリカが中国の経済成長を抑え込もうとすることは絶対にない、と語った。

「アメリカは、中国と中国の人々が経済的成功を収めて世界の安定と繁栄に貢献してもらいたいと願っている。それが米中双方にとって良いことだからだ」



 これとは別にアメリカと中国は今週、半導体や医療機器、GPS機器などハイテク製品の関税を撤廃することで合意した。

 米通商代表部のマイク・フロマン代表は、「この合意の重要性を理解するために説明すると、WTO(世界貿易機関)が前回IT製品の関税撤廃で合意したのは1996年だ。当時は今の生活に欠かせないGPS機器や医療機器、ソフトウエア、ハイテク機器のほとんどがまだ普及していなかった」と声明の中で語っている。「現在、こうしたハイテク製品の世界の貿易額は年間4兆ドルに達する」

 この合意はアメリカ、中国をはじめとするWTO加盟国に適用され、年間1兆ドル近い関税が撤廃される見込みだ。声明では、米中間の貿易交渉で「画期的な前進」だったと強調している。

アバニーシ・パンデイ

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