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ピケティ的な格差は日本でも拡大するか - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年12月10日 21時39分

 かといって非正社員を規制しても、この格差は縮まらない。民主党政権で派遣労働の規制が強化されたが、その結果、派遣労働者が減って、もっと身分の不安定なパート・アルバイトが増えた。経済全体が豊かにならないと、労働者を豊かにすることもできないのだ。

 日本で問題なのは、ピケティのいうような資本家と労働者の格差ではなく、むしろ資本収益率が下がり、欧米の半分以下になったことだ。このため銀行も企業に融資せず、国債を買っている。企業は投資しないで貯蓄しているので、資本家と労働者の格差は拡大しないが、成長率は低下する。

 普通はこのようにキャッシュフローを浪費していると株価が下がり、企業買収のターゲットになるが、日本では持ち合いなどによって買収が不可能になっているので、経営者が保身のために企業貯蓄を増やしている。アメリカではリーマン・ショック以降、自社株買いで資本効率が上がって経済が回復してきたが、日本では余剰資本が企業貯蓄として「埋蔵金」になっている。

 日本ではピケティのいうような格差は拡大していないが、経済が減速して貧困層がますます貧困化する。これを解決するには埋蔵金を優遇する租税特別措置を廃止し、買収防衛策を規制するなど、資本市場を活性化する必要がある。幸い円安で日本企業は「お買い得」になったので、海外資本による日本企業の買収を促進すべきだ。

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