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55年体制に回帰した政治の本当の争点 - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年12月17日 18時10分

 安全保障政策にも、もはや争点はない。非武装中立をとなえていた社会党が90年代に村山内閣で安保と自衛隊を容認して自壊してから、もう絶対平和主義は政治的な選択肢ではないのだ。集団的自衛権(日米同盟の強化)で「戦争に巻き込まれる」という主張も、冷戦時代のようなリアリティをもたない。

 今の日本で経済的に意味のある対立軸は、大きな政府か小さな政府かという選択しかない。かつて小さな政府は「新自由主義」という特殊な学派だと思われていたが、今の日本の政府債務を放置すると、国民負担率は80%を超える。このような「史上最大の政府」になることを阻止し、「普通のサイズの政府」に戻すことが重要だ。

 今の高齢者世代はネズミ講で負担を将来世代に先送りしているが、国債がこのまま増え続けると、遠からず金利上昇(国債暴落)が起こるおそれが強い。ロシアのように金利が急上昇して財政が破綻したら、ホームレスになるのは労働所得のない年金生活者である。

 そういう負担の再分配が本当の争点だが、与野党とも高齢者にきらわれることを恐れて手をつけない。制度いじりより重要なのは、長期的視野で強いリーダーシップを発揮する指導者だ。それが誰であるかはわからないが、目先の景気対策に右往左往する安倍首相でないことだけは確かである。

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