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法王に「年寄り」と批判されても欧州の若返りは可能だ

ニューズウィーク日本版 / 2014年12月18日 16時34分

 移民の急増は欧州にとって最大の難題だが、皮肉なことに最大のチャンスにもなり得る。法王の「おばあさん」発言は的外れだし語弊があるが(おばあちゃんには知恵と経験があるじゃないか)、欧州が高齢化しているのは事実だ。

足元にある力強い基盤

 欧州が活気を取り戻すにはもっと多くの、特に働き盛りの世代の若者が必要だ。技能のある移民はサービス部門で、技能のあまりない移民はインフラなどの建設部門で雇用するべきだ。それが移民問題の1つの解決法にはなるだろう。

 もちろん、これは万能の解決策にはならない。ただ少なくとも、長期的な問題に長期的に効果を発揮する解決策だ。

 欧州が抱えるすべての問題を移民のせいにしようとする、扇動的なポピュリストに立ち向かうことも必要だ。各国の指導者たちはすぐにも、断固たる反ポピュリスト運動を始めるべきだ。

 もちろん、人によって欧州が意味するものは異なる。ギリシャから見た欧州と、ドイツから見たそれは大きく違うだろう。だがギリシャもドイツも、そのほかの多くの西欧諸国も、社会民主主義という共通の理念で団結している。これは力強い理念であり、「老いてやつれた」欧州を若く競争力ある大陸にする上で助けになるはずだ。

 針路を見失ってさまよってはいても、欧州には力強い基盤がある。法王はそれを見落とした。こうした強い根を張っているからこそ、欧州は過去の大陸ではなく、今も世界で影響力を誇り、国際社会に多くを貢献できる力を持ち続けているのだ。

[2014.12.23号掲載]
アフシン・モラビ(本誌コラムニスト)


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