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ロシアにはダメ男しかいない!

ニューズウィーク日本版 / 2014年12月26日 12時0分

 オーナーのフランス人実業家ジャンミシェル・コスヌオーいわく、このような店は「パリではあり得ないが、モスクワでは決して珍しくない」という。

 コスヌオーはモスクワで十数店舗のナイトクラブを経営している。どの店も順調だが、女性客相手のマルシアは飛び抜けて高収益を上げているそうだ。

「ロシアの男たちは女性の扱い方を知らない」と彼は言う。「うちの店に来る美女たちと付き合うより、男仲間で酒を飲むほうが楽しいと思って
いる」

 コスヌオーの友人で、やはりロシアで仕事をするフランス人デザイナー、ジャック・ボンポリエールは違う考えだ。「ロシアの女性は世界一金持ち志向が強い。問題はそこだよ」



男にはもう期待しない

 いずれにせよ、手っ取り早い解決策は見つかりそうもない。ロシア女性の約49%は独身だ。ざっと3000万人の独身女性をどう救えばいいのか。

「年下の男性に目を向けるよう助言している」と、モスカルコワ議員は言う。国民的人気を誇る65歳の歌手アーラ・プガチョーワがお手本になるというのだ。プガチョーワは20年前に18歳年下の歌手フィリップ・キルコーロフと結婚して人々を驚かせた。その後キルコーロフとは離婚。27歳年下のマクシム・ガルキンと結婚した。

 それにしても、あなたが若く美しく、スタイルがよく、芸術的センスもある女性で、周りには醜く強欲で傲慢な男たちしかいないとしたら、どんな気がするだろう。冒頭の母娘に話を戻そう。娘のエカテリーナはプロのバレエダンサーだ。母のエレーナとは違って、遠慮がちに小さな声で過去のトラウマを打ち明けてくれた。

 18歳の新人ダンサーだった頃、「シャンパンとキャビア」をごちそうするから自宅においでと、上司に声を掛けられた。当時の彼女の上司はモスクワ音楽劇場バレエ団の芸術監督だ。

 この手の誘いを断れば、キャリアはおしまいだと、先輩ダンサーたちが忠告してくれた。だがエカテリーナは断った。案の定、憧れの舞台でスポットを浴びるチャンスを失った。

 当時、エカテリーナは「恐ろしく嫉妬深い」男と同棲していた。その後、2人の関係は悪化。エカテリーナは彼のために「工夫を凝らして料理を作る」ことや彼のローンを肩代わりすることに疑問を持ち始めた。結局、その男とは別れ、母親の住む寝室2室のアパートに戻った。

 エカテリーナの話を聞いた後、モスクワの都心にリハーサルに行く彼女に付き合った。彼女の仲間のダンサーたちも、ほとんどが恋人募集中だ。

 ロッカールームでは、ロシアのダメ男の話で盛り上がった。彼女たちはもはや男性に幻想を抱いていない。結婚して温かい家庭をつくることは、若い女性たちの夢ではなくなりつつある。

「女はみんな結婚して子供を産むものとされてきたけど、そんな考えはもう通用しない」と、エカテリーナはため息をつく。

マルシアで惜しげもなくカネを使う女性たちも同感だろう。

[2014.12. 2号掲載]
アンナ・ネムツォーワ


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