年明けのオバマ支持率「回復」をどう見るか? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2015年1月8日 11時43分
共和党のジェブ・ブッシュが、ここへ来て急速に人気を集めているのも、景気が良い中では、政治的なギャンブルはしたくないという有権者の心理を計算してのことだと思われます。
では、オバマ政権として「次の手」は何なのでしょう? オバマは会見で「まだまだサプライズがある」ようなことを言っています。ただ、調子に乗っては危険です。リベラル的な政策を、これ以上ドンドン「大統領令」で進行させるのは、ちょっと待ったほうが良いと思います。
仮に、オバマの言う「次のサプライズ」が、例えば財政再建への思い切った対策であるとか、共和党の主張も取り入れた「妥協と合意」の色彩を取ることができれば、オバマは「偉大な大統領」になれるかもしれません。
例えばですが、現在進行中の「キーストーンXL・パイプライン」問題があります。これは、カナダからテキサス州に石油を輸送する巨大なパイプラインなのですが、オバマの民主党は「環境」問題を理由にこの計画にストップをかけてきています。
これに対して、共和党は極めて強硬であり、また民主党の中での造反も出てきています。ルイジアナ州の前上院議員メアリ・ランドリュー氏は、11月の中間選挙では野党が分裂したために1位となったものの、過半数が取れずに12月の決選投票となった際に「パイプライン構想賛成」を掲げて再度の選挙戦を戦ったところ、一本化した共和党に負けてしまったというエピソードもあるのです。
この「キーストーンXL」に関しては、年明けの新議会開会にあたり、共和党は上下両院ですぐにでも通すと通告、これに対してホワイトハウスは「拒否権行使」をチラつかせています。
ですが、この問題で「拒否権行使せず」というようなサプライズが出ると、政局は面白くなってくるように思うのです。もっとも、オバマとしては世界戦略としての「原油安誘導」をやっている気配があり、ここで「パイプライン承認」となると、そちらの観点から見ると「更に原油安政策を継続」というメッセージになるかもしれず、その点で関心が集まるかもしれません。
いずれにしても、年明けのアメリカ政治は「新しい局面」に入りました。株高なのにオバマは「レイムダック」という光景とは、別の展開へと進み始めています。
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