出馬の覚悟を決めたブッシュの基礎知識
ニューズウィーク日本版 / 2015年1月13日 12時19分
「大統領一族」の家族会議で、ついにゴーサインが出たらしい。ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が12月中旬、16年米大統領選への「立候補を積極的に検討する」と表明した。自身のフェイスブックやツイッターで、「わが国の未来について家族と話し合い、アメリカに必要なリーダーシップについて熟慮した結果、決断した」と記している。
事実上の出馬表明をしたことで、ブッシュは今後メディアから身辺を事細かに調べ上げられることになる。手始めに、彼について知っておくべき7つのポイントを押さえておこう。
(1)12期8年の任期を全うした史上初の共和党フロリダ州知事だった テキサス州出身のブッシュは80年にフロリダに移り、99年にフロリダ州知事に就任した。任期中は教育資金を大幅に増額し、エバーグレーズ国立公園保護に20億ドルの大金を拠出した。
(2)推定資産は200万ドル フロリダ州知事退任後、ブッシュの資産は130万ドルと報じられた。その後は講演をはじめ、不動産投資から企業顧問までカネになる仕事を多数手掛け、今や純資産は200万ドルとみられている。ただし大統領選に突入したら、彼の積極的なカネ儲け主義が反感を買うと指摘するメディアもある。
(3)選挙戦では一家が重要な役割を果たす ブッシュはジョージ・ブッシュ元大統領の息子で、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の弟。ブッシュ一家の名は保守、リベラル問わず、アメリカ国民に信頼性をもって受け止められるだろう。
もっとも国民の大多数は今でも前大統領である兄ブッシュに批判的。だがジェブの妻コルンバ・ブッシュがメキシコ系アメリカ人であることから、共和党予備選においてはラテン系の支持も期待できそうだ。
そのコルンバが公の場を嫌うことで有名なのは懸念材料。娘ノエルがコカイン所持で逮捕歴があるなど、子供たちの過去もほじくり返されることになる。
(4)待ち受けるティーパーティー問題 ブッシュは、共和党の超保守派ティーパーティーからの猛烈な抵抗に遭うかもしれない。ティーパーティーはブッシュの中道寄りな移民・教育政策に反対している。
(5)論争の的である州法「正当防衛法」を承認した張本人 自分の身に危険を感じた場合は武器の使用を認める、としたフロリダ州法の正当防衛法は、ブッシュ在任中の05年に成立した。当時ブッシュは、「良識的で常識的な犯罪防止策」と絶賛したという。だが12年、黒人少年トレイボン・マーティンが、自警団のジョージ・ジマーマンに正当防衛を理由として射殺される事件が発生すると、同法への批判が噴出。ブッシュ自身は、この事件に正当防衛法は適用すべきでないとの見方を示している。
白人警官による黒人殺害事件への抗議デモが全米で広がっている今、賛否渦巻くこの法律にブッシュが関わったことが再び注目される可能性もある。
(6)外交政策は兄そっくり ブッシュは最近フロリダで自身の外交姿勢について演説。そこで提案した7つの戦略は、兄ブッシュが9・11テロ後に打ち出した「ブッシュ・ドクトリン」の再来と報道された。演説では対キューバ政策における禁輸措置の拡大のほか軍事費増強、サイバーセキュリティーの強化などを訴えたという。
(7)移民政策はオバマとは異なる......ということにしたい ブッシュは以前、不法移民に市民権を与えるという方針を支持していた。にもかかわらず、最近オバマ大統領が大統領令で移民救済の制度改革を行ったことを「行き過ぎ」と批判している。かえって議会での改革法可決が困難になる、というのがブッシュの主張だ。
ローラ・モフタ
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