アメリカと和解したカストロ政権の大ばくち
ニューズウィーク日本版 / 2015年1月14日 13時26分
オバマの突然の発表に対する米政界の反応は、予想の範囲内のものだった。民主党の政治家たちは、ごく一部を除いてキューバとの国交正常化を支持。共和党の政治家、特に大統領選に色気を見せている面々はオバマを弱腰と非難している。独裁政権に譲歩した、というわけだ。
しかし、本当にリスクを背負っているのはキューバ政府だろう。アメリカの敵対政策に経済成長の足を引っ張られてきたことは事実だが、国際的な孤立はカストロ体制に政治的な恩恵をもたらしてきた面もある。
61年以降、キューバでうまくいかないことはすべて、腐敗した資本主義帝国アメリカのせいにすることができた。アメリカとの国交が正常化され、いずれ貿易も再開されればその主張は通用しなくなる。
キューバ政府は、いよいよ結果を出すことを求められる。お手本はベトナムだろう。起業家精神に富んだベトナムは、資本主義の果実を味わいつつ、一党支配体制を維持することに成功している。
キューバの現政権に、アメリカとの人的・経済的交流を一挙に増やしつつ、国民を怯えさせ、従順でいさせ続けるなどという芸当ができるだろうか。カストロ体制にとって、アメリカとの国交正常化は一世一代の大ばくちだ。
ウィリアム・ドブソン(本誌コラムニスト)
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
トランプ新政権 イエスマンばかりでは危うい
読売新聞 / 2024年11月21日 5時0分
-
ニュース裏表 峯村健司 〝対中強硬〟アップデートの「トランプ2・0」 新政権は国務長官にルビオ氏、国家安全保障担当補佐官にウォルツ氏と鮮明の布陣
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月16日 10時0分
-
米国務長官指名のルビオ氏、イランやベネズエラ制裁強化に足かせも
ロイター / 2024年11月14日 13時34分
-
マスク氏「3割歳出削減」の大ナタと八方美人の日本 アメリカとは異なる様相で「民主主義が揺らぐ」
東洋経済オンライン / 2024年11月12日 7時50分
-
トランプ氏にあんなことができるのは安倍首相だけだった…外務次官が思わず「ダメです」と止めた"仰天の一言"
プレジデントオンライン / 2024年11月5日 8時15分
ランキング
-
1北朝鮮に石油を大量供給か ロシア、国連制裁違反の疑い
共同通信 / 2024年11月23日 18時11分
-
2露、ウクライナに発射の中距離弾道ミサイルを「量産化」 プーチン氏、迎撃は不可能と強調
産経ニュース / 2024年11月23日 20時2分
-
3佐渡金山追悼式に不参加=生稲政務官の靖国参拝問題視か―韓国
時事通信 / 2024年11月23日 19時29分
-
4アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解けない謎
ロイター / 2024年11月24日 7時53分
-
5中国・35人死亡の車暴走事件 私たちを取り囲み、映像を消せと迫った謎の「市民」たち
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月24日 7時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください