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電力自由化まで1年。料金以外の特徴にも注目が集まる

ニューズウィーク日本版 / 2015年2月26日 12時2分

電力自由化まで1年。料金以外の特徴にも注目が集まる

和歌山県有田郡広川町、日高郡由良町の町界に設置された広川明神山風力発電所

消費者の期待値は高い。求められるのは電力会社選択のための情報だ

 電話会社やインターネット接続会社のように、一般家庭で電力会社を選べるようになる。2016年4月から日本でも電力小売市場が全面自由化を果たすからだ。7.5兆円規模とも言われるこの市場を睨み、多彩な異業種を含む膨大な数の事業者が参入を表明している。その数は2014年12月26日現在で、届け出があるだけでも468社に上るという。

 情報ニーズの高まりに対応した専門メディアも既に現れ始めている。たとえば2015年2月上旬にスタートしたばかりの「電気を選ぶ.jp」(http://denki-erabu.jp/)など、電力自由化に関する情報を提供するニュースサイトも今後増えていくだろう。また、2015年2月25日から27日の会期で開催されている電力関連技術・製品の大規模な総合展示会「スマートエネルギー Week 2015」内でも、こうした流れを受けた「第1回 電力自由化EXPO」という展示会が組み込まれており、産業界の同分野への期待の高まりが伺える。関連事業を展開する40社が出展している。

 日本国内での電力自由化は2000年から段階的に進められ、2005年4月までに中層ビルやスーパーといった中規模の事業者(使用規模50kW / 6,000V 以上)でも電力会社を選べるようになっていた。一方で電力自由化の先進国と言われる欧米各国に目を転じると、ドイツでは1998年、イギリスでは1999年に電力小売りの全面自由化が実施されている。アメリカでは州によって違いがあるが2013年7月の時点で13州およびワシントンDCで小売の全面自由化が実施されているという。欧米先進国の中では比較的自由化が遅れたフランスでも、2007年には全面自由化を果たしている。アジアでは2003年に全面自由化を果たしたシンガポールの事例が知られており、日本は世界の趨勢からはやや遅れての全面自由化となる。

 だが、日本の一般消費者の電力自由化に対する関心は、想像以上に高い可能性がある。博報堂エネルギーマーケティング推進室が2015年1月22日付で発表した生活者調査レポートによるなら、電力自由化の認知率は80.8%、電力会社を変えてみたいと答えた人は64%に上るという。また、電力会社を選ぶ際に何を重要視するかについては、料金の安さが第一に来るが、メニューや手続きのわかりやすさ、安心安全なイメージ、といった要素がそれに続く。

 電力自由化にともなって、今後数多くの電力小売事業者がさまざまに自社の付加価値をアピールしていくことになる。それだけに消費者にとっては、自分に合った電力会社を選択するための情報収集が重要になるだろう。料金プランが一大関心事なのは最近の「格安スマートフォン」と同様だろうが、発電方法や再生可能エネルギーの割合、事業者の企業倫理、自宅に設置されるメーターの機能など、求められる情報は多岐にわたる。異業種から参入した事業者の場合などは、グループ内の他のサービスとの連携も気になるところだ。

 自由化まではまだ1年ある。そう思っているかもしれないが、今秋には電力小売事業者の予約受付が始まる。いまのうちに積極的に情報に触れて、かしこく電力自由化に備えたい。

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