連日パリを脅かすドローンの正体は
ニューズウィーク日本版 / 2015年2月26日 16時11分
フランスの捜査当局は25日、ドローン(無人機)を飛ばしていたアルジャジーラの記者3人を逮捕した。パリでは1月の連続テロ以降、厳重な警戒が敷かれるなか、今週に入って連日不審なドローンが目撃され、緊張が高まっていた。だが、これでドローン騒動が解決したとはとうてい言えないようだ。
パリの検察当局によると、3人の記者はパリ西部の森林公園ブローニュの森でドローンを飛ばしていたところを捜査員に見つかり、拘束されたという。記者たちの目的は不明で、それまでに目撃されたドローンと今回の逮捕は「今のところ関連性がない」と、検察当局は述べている。
フランスでは昨年10月以降、原子力発電所や原子力潜水艦の基地周辺で不審なドローンの出現が相次ぎ、1月20日には大統領官邸の上空でも目撃されて警戒が高まっていた。
パリ上空に無許可でドローンを飛ばせば、最高で懲役1年と8万5000ドルの罰金を科される。
3人の記者は70歳と54歳と36歳。カタールのドーハにあるアルジャジーラ本社は、「アルジャジーラのイギリス人記者3人がパリで謎のドローンについて報道するために撮影を行っていたときに逮捕された」と発表。「詳しい情報が入りしだい改めてコメントする」と述べた。
3人のうち「1人がドローンを操縦し、もう1人は撮影を担当、あとの1人はその様子を見ていた」と、フランスのメディアは捜査関係者の談話を伝えている。
23日夜から24日未明にかけてパリのアメリカ大使館近くなどでドローンが飛んでいたという情報が寄せられ、警察が捜査に乗り出していた。24日夜から25日にかけても、パリ東駅近く、オペラ座、チュイルリー庭園、エッフェル塔、トゥール・モンパルナスなど主要な建物や観光名所の周辺を飛ぶドローンが相次いで目撃された。誰が何の目的で飛ばしたか、何機のドローンが使用されたか、組織的な動きかどうかなど、すべてが謎に包まれている。
1月7日に風刺週刊紙シャルリ・エブドの編集部が襲撃され、その後に容疑者がスーパーマーケットに立てこもるなどで合計17人の犠牲者が出た連続テロ以降、パリではテロへの警戒感が高まっている。そうした中で正体不明のドローンが出現し、市民の不安は募る一方だ。
フランスの捜査当局は、落下して歩行者に衝突する可能性を除けば、ここ数日に現れたドローンは直接的な脅威ではないと発表している。悪質ないたずらとの見方もあるが、テロ計画に備えて警備体制を偵察する目的で飛ばされた可能性もあり、警察はドローンの追跡と操縦者の特定に全力を挙げている。
マリア・ガルーチ
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