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旅やレストランの口コミ、どこまで信じますか

ニューズウィーク日本版 / 2015年2月27日 13時3分

「トリップアドバイザー」はホテルやレストラン、観光名所に関する口コミが集まる有名なウェブサイト。多くの旅行者が行き先選びの参考にしている。

 だがこのサイト、情報の信頼性には問題があるかもしれない。イタリアの競争当局は昨年12月、トリップアドバイザーに対し、虚偽の口コミ情報の流布を防止できなかったとして50万ユーロの罰金の支払いを命じた。当局によれば、ホテルなどへの批判的な口コミの中に、実際に利用していない人が書き込んだ可能性のあるものがあったという。

 だがトリップアドバイザーは「この裁定に合理性はないと考え、その事実認定に強く反対する」との声明を出し、当局の判断に異議を唱えている。

 どちらの言い分が正しいかはさておき、ネットにおける口コミやレビューの信頼性の問題は以前から指摘されてきた。

 ハーバード大学とボストン大学の研究によれば、店舗などの口コミサイト「イエルプ」のレビューの20%近くは虚偽の内容を含む。イリノイ大学の研究では、ネット上のレビューの30%はでっち上げの可能性がある。

 それでも「消費者の意見は絶対に正しい」という意識は根強い。最近の調査では、ネットの口コミ情報を知り合いからのおすすめと同じくらい信用している、と答えた人は88%に上った。 旅行ともなれば、偽のレビューを信じたせいで大金をどぶに捨ててしまう可能性もある。だが専門家によれば、偽物と本物のレビューを見分ける手掛かりはいくつかあるという。

■ホテルより書き手の行動や家族についての記述が多い レビューに含まれる剽窃や嘘を検出するソフトウエアを開発したコーネル大学の研究チームによれば、本物のレビューではホテルそのものについて細かく記述される傾向があるのに対し、偽のレビューには書き手の家族や行動のことばかり書いてあることが多いという。これはもっともらしく感じのいいレビューに見せ掛けるための手だ。

■大げさな感情表現や褒め言葉 ネット上のレビューから虚偽や「さくら」を見つける研究を行っているイリノイ大学のビン・リウ教授によれば、偽のレビューには大げさな表現が多い。「これまでで一番」といった表現を見つけたら要注意だ。

 コーネル大学の研究チームも「虚偽の文章には誇張した言葉が含まれることが多い」と言う。

■特定の単語が頻出する リウ教授によれば、ホテルに関する偽のレビューには「私たち」「料金」「滞在」「感じ」「いい」「お得」「快適」といった言葉がよく出てくるという。レストランなら「選択肢」「行った」「席」「助かる」「全体的」「供する」「量」という単語が多い。

■他の口コミを投稿していない 極端に好意的もしくは批判的なレビューで、書き手がそれ以外に何も投稿していない場合も怪しい。本物の書き手なら、他にもレビューを投稿しているはずだ。

■繰り返し出てくる「私」 コーネル大学の研究によれば、虚偽のレビューでは、もっともらしく書くためか「私」などの人称代名詞を多用する例が多いという。実際に食べていない後ろめたさから、「リゾットはおいしかった」ではなく「私は素晴らしいリゾットを食べた」と書くわけだ。

 ちなみにコーネル大学の開発したソフトは、レビューの真贋を90%の確率で見分けられたという。これに対し、普通の人の正答率は50%だった。

[2015.2. 3号掲載]
イスマト・サラ・マングラ

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