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自信家の心を燃やすヒーローは「自分」

ニューズウィーク日本版 / 2015年3月4日 17時26分

 あなたは誰に勇気づけられますか──こう聞けば、大抵の人は憧れのヒーローや友人や家族の名前を挙げるだろう。

 だが、対人関係で相手より優位に立つことが多く、影響力の大きい人たちは違う。学術誌ソーシャル・サイコロジー&パーソナリティー・サイエンスに掲載された新しい論文によると、このタイプの人たちは他者ではなく自分自身にインスパイアされることが多いようだ。

 この論文はアメリカとヨーロッパで行われた4つの研究の結果を解析・統合したもの。メタ解析で見えてきたのは、パワーのある人(目標達成の手段や資質をより多く確保している人)は、会話の中で相手ではなく自分の興味や自分の言葉に注意を向け、自分のアイデアに興奮する傾向があるということだ。

 この論文の執筆陣が注目したのは、昨年のアカデミー賞授賞式で主演男優賞に輝いたマシュー・マコノヒーが語った言葉だ。「僕のヒーローは誰かって? 決まってるだろ、僕自身さ」

 この言葉に象徴されるように、自信がある人は自分で自分の心を燃え立たせるのではないかと、執筆陣は仮説を立てた。

 メタ解析で扱った4つの研究の1つは、アムステルダム大学の研究者たちが239人の心理学部の学生を対象に実施したもの。「人と会話しているとき、自分が思い付いたアイデアで興奮することが多いですか」「自分の話よりほかの人の話のほうが面白いとよく感じますか」といった質問に答えてもらい、自己優先度と他者優先度を評価した。その結果、自信のある学生ほど自分の言葉に鼓舞される傾向があることが分かった。

「俺様思考」と紙一重

 カリフォルニア大学バークレー校の研究チームが行った調査でも、強気の人は会話の中で相手の話よりも自分の話に熱くなる傾向があることが確認された。
やはりアムステルダム大学で行われた3つ目の研究では、自信のあるなしと感動的な話を即興的に語る能力に相関関係が認められた。

 4つ目の研究もアムステルダム大学の学生を対象としたもの。自信があると評価された学生たちは、他人の体験を文章にしたときよりも、自分の体験を書いたときのほうが大きな達成感を得る傾向があることが分かった。

 これら4つの研究は、メタ解析論文の執筆者たちの仮説を支持していると考えられる。

 一方で、執筆者たちが慎重に指摘しているように、自信のある人は相手の話を傾聴するより自分がしゃべることが多く、対面でのやりとりで相手の感情にあまり配慮しない傾向もある。自信のある人は他人の感動的な話に冷めた反応をしがちなことも今回の解析で分かった。

 これに関連して、1月に発表された別のチームの研究でも興味深い結果が出ている。自信のある人は自分が利益を得るために不正手段を使いがちだが、気弱な人は他者の利益のために不正手段を使うことが多いというのだ。どうやら自分をヒーローにすることは「俺様思考」と紙一重らしい。

[2015.3. 3号掲載]
ポーラ・メヒア

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