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帰ってきたバーチャル・リアリティーの新境地 - 瀧口範子 @シリコンバレーJournal

ニューズウィーク日本版 / 2015年3月12日 17時39分

 ソーシャル・ネットワークでの利用も予想できる。そもそもフェイスブックがここに乗り出したのも、それが理由だろう。フェイスブックでつながっている人々が、バーチャル空間に集って交流する。タイムラインでやりとりしている以上の直接的な雰囲気が感じられるだろう。

 ビジネスでは、不動産が面白い。一度体験したことがあるのだが、売り出し中のアパートをバーチャルに見学できたりする。視線を移して部屋の中を見回したり、外からアパートを見上げたりできる。周辺の環境も手に取るようにわかるのは、現在のウェブでよくあるバーチャル・ツアーとは大違いだ。

 バーチャル・ツアーと言えば、旅行業にも役立つ。今度旅行したい先、泊まりたいホテルなどをVRでチェックするというのも手だろう。

 その他にも医療、製造、教育など、使えそうな場面は無数に出てくる。だが、用途以上に興味深いのは、VRというテクノロジーの復活劇である。

 実は、VRはもう20年近く前に大きな注目を集めたことがあった。先端的なテクノロジーを好む一部の人々が実際にVR空間を作ってデモしているのをいくつも見たことがある。

 しかし、当時はVRの真価を体験することはできなかった。コンピュータ処理能力の限界によって、画面は雑でスムーズに動かない。またVR用のゴーグルもなかったので、VR空間の迫力があまり感じられなかった。いったい何のために必要なのか。まだバーチャルな交流が芽生えていなかった時期でもあり、その用途がよく見えなかったのだ。

 しかし、今こうしてVRが本格的に広まろうとしていることには感慨深いものがある。テクノロジーは早過ぎても受容されない。けれども、環境が整えば復活して生まれ変わることもある。そして、かなり早い時期にその可能性を信じた人々は、やっぱり凄いのだ。

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