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ドイツに初のイスラム銀行が誕生

ニューズウィーク日本版 / 2015年3月26日 16時26分

 ドイツにこの夏、本格的な金融業務を行う初のイスラム銀行が誕生すると、ドイツのメディアが伝えた。

 報道によれば、ドイツの連邦金融監督庁(Bafin)はトルコの銀行、クウェートトルコ銀行に営業認可を与えた。同行はフランクフルト、ケルン、ベルリンに支店を展開、第1号のフランクフルト店は6月に営業を開始する予定だ。22日の記者発表によると、今後はフランクフルトを拠点にヨーロッパ全域にサービス網を広げる計画だという。

 イスラム銀行はイスラム法典「シャリーア」に則った業務を行う。そのため投機的な取引は行わず、貸付けを行って金利を取ることもない。イスラムの教義では、金の貸し借りで利益を得る行為は禁止されているからだ。ただし、事業に投資して配当を得ることは奨励されている。預金に利息はつかないが、預金者には出資に対する配当という形で利益が還元される。また、住宅ローンは組めないが、銀行が住宅を購入し、顧客に再販売して利益を得るという形で、住宅ローンと同様のサービスを提供できる。

 イスラム銀行はアルコール飲料を製造する会社やポルノ、賭博、豚肉を扱う会社には投資しない。企業価値に対する負債比率が30%を超える会社にも投資を控える傾向がある。

 ドイツのクウェートトルコ銀行のケマル・オザン頭取は、ドイツ在住の約400万人のムスリムが主要なターゲットだと話す。「市場調査で、ドイツ在住のムスリムの21%がイスラム銀行をメインバンクにしたがっていることがわかった」ドイツのムスリム人口はヨーロッパでは最大だ。

 ヨーロッパでは引き続きイギリスがイスラム金融の中心地の役割を果たす。イギリスには本格的な金融業務を行うイスラム銀行が5行あり、そのほかにも20の銀行がイスラム金融サービスを提供している。

 ヨーロッパの他の地域でも、ムスリム人口の増加に伴い、イスラム金融サービスのニーズが高まっている。米シンクタンク、ゲイトストーン研究所の調べでは、イスラム金融はイスラム教徒が多数を占める中東とアジアの国々以上に、イギリス、フランス、ドイツで急成長しているという。

 非ムスリムの利用者も増えている。イギリスに最初に誕生したイスラム銀行、イスラミック・バンク・オブ・ブリテンは昨年、バークレイズ銀行の金利不正操作スキャンダルの影響もあって、非ムスリムの預金者の口座開設が55%増えたと発表した。

 イギリスのイスラム銀行、アルラヤン銀行のマーケティング・リテール部門を率いるティム・シンクレアによると、この2年間に定期預金をした顧客の83%は非ムスリムだ。イスラム金融の倫理的な姿勢が評価されていると、シンクレアはみる。「比較的小規模なわが行は、倫理的な慣行を強みにしている。シャリーア遵守の立場から悪質な事業には投資せず、透明性を保っている」

 ドイツでは昨年、難民申請が12年の4倍の20万件前後に上った。申請者の多くは中東出身者だ。ドイツ連邦政府が先週発表した統計によると、ドイツの市民権を持たない在留者は820万人に達しつつあり、人口の10%以上を占めている。昨年、新たにドイツに住み着いた外国人は50万人余りで、旧ユーゴスラビア紛争で多数の難民が流入した91年と92年以降の最多に上った。

フェリシティー・ケーポン

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